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    sorairoiro

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    sorairoiro

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    2021年7月17日開催のエリオスオンリーでの作品です!
    初めてのことに戸惑っている二人を書きました。キース視点です。

    題名【気づいてからは。】『キース!』
     そうお前に笑顔で名前を呼ばれる度に、心がくすぐったいような柄にもない気分になる。アカデミー時代からそういうのがあったが、オレは気づかないふりを続けた。
     これがなんなのか知ったのはお前がオレの前から消えてからだ――

    ***

    「……ぅ」
     のそっとベッドから起き上がったキースは二日酔いの頭痛が目覚まし代わりになっていた。ズキズキと痛い頭を押さえながらキースは最悪だと呟く。
    (くっそ……飲みすぎた)
     昨夜の記憶は途中までしかない。この頭痛の度合いからいくと相当な量の酒を飲んでいる。ビールの缶を何缶飲んだのかは分からないが、部屋にあるテーブルには数え切れない数のビールの缶が置いてあった。
     今、少しでも動けば酷い頭痛が襲ってきそうでキースはベッドから動けない。
    (……今、何時だ?)
     テーブルの上にスマホがあるが動けないキースはヒーロー能力であるサイコキネシスでスマホを手元まで引き寄せた。
    (本当にこの能力便利だなぁ……っと、まだ起きるまで一時間以上あるじゃねぇか)
     はぁーっとため息をついたキースは痛み頭を押さえながら隣の部屋をチラッと見る。
    「……すー……すー」
     規則正しい寝息をたてながらディノが眠っていた。床にはまたテレビショッピングで何か買ったのか、新しい段ボールが置かれている。ただでさえディノの部屋には物が多いのに、更に足の踏み場が無くなりそうだ。
    (……今日はうなされてねぇな)
     眠っているディノから規則正しい寝息を聞くとキースは安堵していた。
     失踪してから帰ってきたディノは前とは変わらないように見えるが、夜中に何度もうなされていることをキースは知っている。だが、それをブラッドに言う気はない。人に言いふらしていい内容ではないからだ。それに、自分だけが知っているという少しの独占欲だけある。
     ディノが初めてうなされていた時、うわ言のように「ごめん……ごめんなさい」っと、言うあの悲しげな声が当分の間は耳から離れなかった。どんな悪夢にうなされているのか、それはすぐにわかった。洗脳されていたとは言え、仲間を裏切っていた行為に、人が仲間が大好きなディノには耐え難いことを。
     ゆっくりと頭を押さえながらベッドから降りたキースは眠っているディノの方へ足音をたてないように歩いていく。
    「ッ……いってぇ」
     ズキズキと痛い頭を押さえながら眠っているディノのベッドまで行った。
     眠っているディノの桜色の綺麗な髪色は、いつも笑顔でいる春のように暖かいディノに相応しい色合いだ。
    「……ディノ」
     ゆっくりと壊れ物を扱うようにそっとキースはディノの髪を触る。こんなにも優しく誰かに触れようとしたのは初めてで、この気持ちも全て初めてだ。
    (……はぁ。これが……恋ってやつか)
     あの父親とのこともあり、一生恋愛関連には縁が無いと思って生きてきたキースだが、そんなことはこのディノ・アルバーニに出会ったことによって変わってしまった。
    「……好きだ……ディノ」
     独り言のように眠っているディノへの気持ちを言葉というかたちにする。言葉にしてしまえば今まで抑えていた気持ちが余計に露になり、ディノが好きだということが心の中を占めていく。
    「……ん……キー……ス?」
    「ッ!」
    「あれ?どうしたの?……ふぁ〜」
     大きな欠伸をして眠そうな目をディノは擦る。ここでの言い訳など考えていなかったキースは心臓が煩いほど鳴っていた。
    (やっべ……起きるとは思わなかった)
     ゆっくりと起き上がったディノはキースを見るが、キースは何と答えればいいのか思考がぐちゃぐちゃとしている。
    「あー……えっと。そう、お前が買った通販の段ボールが転がったから拾ってたんだよ。ほら」
     咄嗟にサイコキネシスで落とした段ボールをディノに見せる。
    「え、落ちちゃってたのか。起こしちゃってごめん」
     ディノは起き上がって急いで段ボールを元の位置に戻す。これがうまくいくとは思っていなかったが、寝起きだったディノと、改めて自分の能力にキースは感謝をしていた。
    「お、おう……。オレはとりあえずもう一回寝るわ」
    「でもあと一時間くらいで起きる時間じゃないか?」
    「まあ、そうだな」
    「じゃあ、早起きしちゃったし何か話でもする?」
    「え?今から?」
    「うん。どうせあと一時間くらいだしさ」
    「えー……一時間あれば少しは寝れるだろ」
    「それで寝過ごしたらジュニアにめちゃくちゃ怒られるぞ」
    「……ジュニアの怒鳴り声が今きたらキツイな……。はぁ。仕方ねぇから話でもするか」
    「やった!」
     嬉しそうな顔をしたディノはポンポンっと優しく自分のベッドを叩き、ここに座ってと合図をする。
    (隣……意識しちまうな)
     だが、ここで座らずに立っているのもおかしい。キースは諦めてディノの横に腰を下ろした。
    「じゃあ、何から話そうか?」
    「何からって言われてもな」
    「アカデミーの時とか?最初のキースは俺を避けてるような感じだったよな」
    「あれは、お前がグイグイ来るからだろ。あんなに来たら誰だって警戒心が出るぞ」
    「だってキースと友達になりたかったんだ」
    「オレと友達になりたいって言うディノは変わり者だよな。色々良くない話は聞いてただろ?オレの」
    「うん、聞いてたよ。でも、それは俺がちゃんとキースを見て知ったものじゃないから信じてなかった。で、友達になったら言われてた事とは全然違ったしな」
     陰で言われている事を信じずに、本当の自分を見ようとしてくれたディノに心を許した。それからその気持ちが恋になったのもディノの性格に惹かれたのもある。
     ただ、今のキースは友達という単語に心はモヤッとする。友達であるのは事実で否定しようとは思わない。
     キースは未だにディノにこの気持ちを伝えてはいない。この関係が壊れてしまう可能性に内心は怯えているからだ。
    (友達なら側にいれるが……ディノはオレの気持ちを知らないんだろうな)
     楽しそうにアカデミー時代の話をするディノをキースは黙って見つめている。
     失踪した年からキースの生活は色々と変わり、春の季節の花である桜を見るのが好きではなくなっていた。元から花が大好きというわけではないが、春に咲く桜は綺麗だとは思っている。ただ、桜を見ると同じような髪色のディノを思い出し、あの時に何か出来なかったのか、もっと前に気づけなかったのかと、何度も自分を責めてしまって見るのが辛かった。
    「――キース聞いてる?」
    「ん?まーぼちぼち」
    「それ、絶対に聞いてないだろ。もう、せっかくキースがかっこいいって言ったのに」
    「オレがかっこいい?」
    「うん!キースが戦っている姿かっこいいなーって思って。ほら、決める時はちゃんと決めてくれるだろ?にひっ」
     かっこいいと言う言葉を笑顔で言ってくるディノが眩しい。そして、その言葉にドクンっと胸が鳴る。
    「……ディノ」
     ゆっくりとディノの頬に手を伸ばしたキースは、ディノの海色の瞳を見つめた。
    「キー……ス?」
     もう少し距離を詰めればキスが出来そうな距離だ。
     こんな風にキスをしたくなるのは、男同士でも可愛いと思えてしまうのはディノだから。
    「ディノ……オレは」
    「おい!!キース!!」
     あと少しのところで勢いよく部屋のドアを開けてジュニアが入ってきた。
    「っ!?」
     一瞬でキースはディノと距離を取ったが、心臓が今にも飛び出してしまいそうだ。
    「ジ、ジュニア?どうしたんだ」
    「とっくに起きる時間を過ぎてるだろ!!てか、ディノもいたのか。クソメンターだけかと思ってたぞ。おい、二人ともとっとと支度しろ」
     それだけ言うとジュニアは部屋を出ていったが、後ろにいたフェイスは二人をじっと見る。
    「な、なにフェイス?どうしたの?」
     ディノがぎこちない言い方をすると、何かを察したのかフェイスは口角を上に上げた。
    「ふ〜ん……まあ、ジュニアに怒られない程度にしといたほうがいいよ。あと、朝から熱いね」
    「……な、なんのことだよ」
    「さぁ?俺も行くねキースは早く言えるといいね」
    「なっ!?おい、ちょっと待て!」
     慌てたキースはフェイスを追いかけて部屋を出てしまった。部屋に残されたディノはぽかーんっと口を開けたままだ。
    「ッ……キースの馬鹿」
     耳まで赤くなったディノは腕で顔を覆う。
     ディノもキースと同じ気持ちを抱いているが、その想いを伝えていない。
     お互いの気持ちを知るのはもう少し後の話し。
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    recommended works

    pagupagu14

    FUJOSHI SAW #キスディノ版ワンドロライ報告会
    @KD_1drwr
    初めて

    開催おめでとうございます!【初めて】で書かせていただきました!🍺🍕
    初めて キスディノ

    「キスがしたい」
    「は?」
    「キスがしたい」
    「いや聞こえてるって、何だよ藪から棒に」
    「だってキース!俺たち付き合ってるんだよ!?恋人だよ!?だったらキスくらいしてもいいと思うんだけど!」
    今日は二人とも合わせてオフの日で、昨夜ディノがいなかった時期に比べるとマシにはなったもののお酒を飲んでいたキースはダラダラと過ごしていてディノも珍しくどこかへ生かず部屋で過ごしていたのだが、それもふつふつと溜まっていた気持ちをキースに伝えるためだった。ディノが戻ってきて、復帰して、なんやかんやあって付き合うことになった二人だったが特に親友だった時と何かが変わることがなく日々を過ごしてきた。勿論、ディノはキースに大切に大事にされていると感じていたのだがキスくらい許されるのではないか?というか俺がしたい!という気持ちを今、ぶつけていた。
    「いや、それは…」
    「なぁ、だめか…?」
    キースに近づき、顔を覗き込むようにして甘えるディノに「ゔっ」とキースは声を漏らす。キースはディノのこういった顔に弱かった。これに限らず何だかんだキースはディノのお願いを聞いてあげたくなるし、いつもどこかで 1582

    pagupagu14

    FUJOSHI SAW #キスディノ版ワンドロライ報告会
    @KD_1drwr
    【煙草】で書かせていただきました!
    ディノの喫煙者描写注意です!
    煙草 キスディノ
     「おわ、驚いた…」
    「あ、キース。お疲れ様!」
    「お、おお…おつかれ…」
    喫煙所に入ったキースはいると思っていなかった人物、ディノがいたことに驚き目をぱちくりとさせた。ディノはスマホを弄りつつ煙草を吸う手を止めずにいてそれがまたキースを驚かせた。
    「お前が煙草吸うなんて知らなかったな」
    「はは、本当はキースにだけは知られたくなかったんだけどな」
    「…どういうことだ?」
    「ええっと、白状するとさ。俺って四年のブランクがあるだろ?記憶も、他にもさ…ブラッドもそうだけど特にキースは俺の知らないところがたくさん出来てて煙草もそうだし、お酒だって、他にも…だから近づきたいと思って始めたーー呆れるか?」
    照れたように笑うディノにキースは何も言えなくなってしまう。そういえばディノの吸ってる銘柄は自分のと同じような気がするし、それが自分のため…いや、せいだというのは酷く落ち着かなく嬉しくなってしまうのだった。
    「…呆れねえし、嫌でもねぇ……むしろ」
    嬉しいという言葉は言わずともわかっているようでニコニコとディノは笑った。
    「むしろ、なんだ?」
    「分かってんだろ…」
    「でもキースの 1204

    pagupagu14

    DONE #キスディノ版ワンドロライ報告会
    @KD_1drwr
    お花見(桜)/誕生日 で書きました!
    ※ブラオスのブラッドとキースが会話するシーンがあります
    Will you marry me ? キスディノ


    誕生日に結婚うんぬんかんぬんの話書いてしまうのが私の性癖というか好きなシチュエーションだよなって書きながら気づきを得ました。
    Will you marry me  キスディノ

     (楽しそうだなぁ…)
    安っぽい缶ビールを飲みながらキースの口元は弧を描いていた。
    今日はディノの誕生日、最初はジュニアの提案でサプライズで祝おうかなんて案も出ていたのだがそれを下げさせたのはキースだった。ディノはサプライズをするのは好きだがされるのは苦手とする人間だった。それこそ上手に隠し通せたのなら問題はないのだがジュニアやキースと言ったメンツがいるなら上手く隠すことは不可能で、それで変に避けられてディノが傷つくことが目に見えていた。だからこそサプライズをやめ、ディノにどんな誕生日パーティがいいのか聞くことにしたのだった。するとディノは「お花見パーティーがしたい!」なんて言うものだから今日がディノの髪と同じような薄ピンク色をした花びらを散らせる木の下、集めるものだけ集まってパーティーを行なっている。ディノが好きなピザと少しのサイドメニューと共に。視線の先にいるディノは多くの仲間たちに囲まれて楽しそうに見えた。
    「そばに行かなくていいのか」
    「…ブラッド」
    キースの横に座り同じようにビールを飲む姿を似合わない、と思いつつキースは少 2200

    pagupagu14

    DONE #キスディノ版ワンドロライ報告会
    @KD_1drwr
    【独り占め】で書かせていただきました!イメージとしては最近子供が出来て2人の時間がなかなか出来ない夫婦感!
    独り占め キスディノ
     「なんか、いいのかなぁ。ルーキー達に悪いよ」
    そう零すのはディノ。
    目の前には出来立てのキースお手製のパスタがあって、湯気を立てている。また、悪夢に魘されたディノは目を覚ました。いつもはシャワーを浴びた後、トレーニングに行くか、ランニングに出るか、もしくはテレビショッピングを見て過ごすかするディノだったが今日はキースが起きてきた。勿論、キースはお前のせいで起こされた〜などと言っていたがそれが嘘だったことなど知っている。恋人の優しい嘘に嬉しさ半分、申し訳なさを半分にその優しさに甘えることにしたのは数時間前のこと。
    「別にいいんだよ。オレが好きでやってんだし」
    「うーん…でもさぁ……これじゃあキースに頼りっぱなしで申し訳ないと言うか…これじゃあ俺がダメ人間になってしまいそうだ」
    「っ…」
    思わずその言葉にキースはグッときてしまう。ディノを好きになってから、ディノと付き合うようになってから自分は好きな人を甘やかしたいタイプなのかと驚きに満ちたものを覚えた日のことを思い出しながらキースは深く息を吐いた。
    「………べつに、お前がそんなこと気にしなくていいんだよ。オレが好き 1404

    sorairoiro

    DONE【第5回お題:噛み跡】

    キースの肩についた噛み跡のお話です。
    ⚠️事後を匂わせているのでポイピクに投稿をしています。

    企画垢(@KD_1drwr)
    #キスディノ版ワンドロライ報告会
    「~~っ、いってぇ」
     キースは共有スペースにある黄色のソファーに座りながら、肩を手で押さえて小さくそう呟いた。肩が凝っているわけではないが、ある事でキースの肩にズキズキと痛みが出ている。
    (久しぶりにけっこう噛まれたな)
     夜中にシャワーを浴びた時にキースは自分の肩がどうなっているのか鏡で見えていた。肩には何ヵ所か噛み跡がある。
     その噛み跡が出来た原因はディノだ。キースとディノは周りには内緒で付き合っている。ただ、昔からの友達であるブラッドには二人の雰囲気が変わったと即座に見破られてしまった。ブラッドは二人が付き合っていることに嫌悪感も出さず、二人が幸せならそれでいいと言ってくれた。
    (……まあ、昨日は無理をさせ過ぎたよな)
     ガシガシと癖毛の髪をかきながら夜の事を思い出す。ヒーローの仕事が急に忙しくなった二人は恋人同士としての時間が取れず、日々が過ぎていた。
     そして、昨日は久しぶりに時間が合い、恋人同士としての時間を深めあったのだ。やはりキスをするだけではなく肌を重ねることでよりお互いを近くに感じられ、久しぶりのこともあってキースは歯止めが効かなくなっていた。
    (ディノが…… 1532

    pagupagu14

    DONE #キスディノ版ワンドロライ報告会
    @KD_1drwr
    【ぬいぐるみ】で参加しました!
    ぬいぐるみはヴィレバンコラボのぬいぐるみイメージしてます🐺
    ぬいぐるみ キスディノ

     きっかけは些細な喧嘩だったように思う。今ではその原因さえ思い出せないような、ほんの些細なこと。オレもディノも普段ならすぐに仲直りするようなことも互いに意固地になってしまい、できないでいて今ではどうやって謝るか考えてしまう始末だった。
    「はぁ…」
    その日の夜、部屋のカウンターで酒をちびちびと飲んでいたオレだったがそんなオレに近づく気配を感じる。もちろん、そんなのディノ以外いない…のだが。
    思わず振り向くとオレの視界に飛び込んできたのはディノーーではなく、ディノと同じような空色の瞳をさせたオオカミのぬいぐるみだった。以前、ヒーロー業の一環でした仕事の際にディノが買い取ったのを覚えている。
    『キースくん』
    「ああ?」
    裏声で、オオカミに声を当てるオレと同年代の男に呆れてしまう。
    『ディノくん、友達と喧嘩しちゃって困ってるんだ。友達じゃなくなったらどうしようって…どうしたらいいと思う?』
    ーーああ、もう。
    こんなのも可愛いとさえ思ってしまうオレはきっとどうかしているのだろう。
    「あー…別に気にしなくていいとでも言っとけ。その友達はもう怒ってねぇし、むしろ…いつ謝ろう 997