ドラゴンズドグマ2「記憶」「………、………う…。」
「覚者様…!大丈夫ですか、覚者様!?」
聞き慣れた声に呼び戻された。
意識が朦朧として、自分が今どこにいるのかも判然としない。
「…あ……、俺…は……」
徐々に意識がはっきりしてくる。
ここは…、そうだ。
ハーヴ村の洞窟から続く海底神殿を進んでいたところだった。初めて訪れた場所だ。聖域と呼ばれるこの場所が、何故か俺には初めてとは思えなかった。
夢が正夢にでもなったというのか…最初はそう思ったが、違う。俺はこの場所を知っている…。
朽ちた牢獄を抜け、謁見の間のようなホールに出た時、その既視感に軽い目眩がした。奥の螺旋階段を上り、城と離れの塔を繫ぐ渡り歩廊に差し掛かる頃には、胸の奥が疼き、何かを拒む体とは裏腹に、この先へ進みたい衝動に駆られた。
目の先の塔に入ると、よりいっそう激しい頭痛と目眩が襲い、そのまま意識を失ったのだった。
思えばこの剣を授かった時からだ。
世界の王、界王であり、現在は狂王と呼ばれたかつてのヴェルンワースの王から授かった魂魄の剣。この剣を手にした時から、胸の奥がざわついて、激しい焦燥感に襲われている…。
「立てますか、覚者様…?」
「……、…ああ…。」
従者であるポーンに肩を借り、ゆっくりと体を起こし立ち上がった。
そうか…、俺はまた……
……そうだったのか。
導き手やドラゴンすらも知らない、干渉できない、それは俺がこの地に降り立つ以前の遠い記憶。
魂に刻まれた、記憶───。
確信はない。だが、どこかでわかっている。
「さあ、行こう…。」
俺は、この宇宙と時空を彷徨い続け、探し望んでいるのかもしれない。
偽りのない本当の世界でもう一度、
…君に、出逢えることを──…。