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    さめはだ

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    さめはだ

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    拓二(同棲)

    「おい」

     なかなかの再現度じゃね?、と目を輝かせながら手にしたプレートには、あの村で作り上げたハンバーガーが乗っていた。なにやら上機嫌にキッチンに立っているなと思っていた輝ニが、換気扇を強風で回していても微かに残った香りに顔をしかめた。

    「んぁ?」

     掴んだそれを頬張ろうと大口開けた所に声がかかり、なんとも間の抜けた声と表情で隣に腰をどかっと落とした細身を見やった。休みの日の彼らしい、緩いシルエットのシャツとカーディガンに黒髪がさらりと流れ落ちる。

    「輝ニも食べる?」
    「いや、いい」
    「そ?じゃあ、いただきまー、」
    「…おい」

     再び声がかかり手を止める。2度も遮られ、拓也の眉は顰められた。

    「だからぁ、なんだよ」
    「それ、食べるつもりか?」

     それ、と顎をしゃくってさされたのは掴まれて形を変えたハンバーガー。食べるから作ったのに、なにを当たり前のことを…。そう思いながら「そうだけど」と言いのけた。拓也好みの味に手を加えられたハンバーガーは、ソーセージに香辛料がたっぷりとまぶさったスパイシーな香りが漂うものであった。

    「……」
    「……なに」

     まじまじと見つめられて、悪い事でもしている気分になる。居心地の悪さを感じながら好物を手にしたままじとり睨んだ。

    「…それ食ったらしないからな」
    「………へ?」

     何が、と問いかけようと開いた口に輝ニのそれが合わさった。

    「じゃあ、お前は食事でもしていてくれ」
    「ちょ、っへ…えっ、輝ニ?!」

     可愛らしいリップ音とは裏腹に、黒髪の隙間から覗いた瞳には一瞬だが確かに欲の色が浮かんでいた。

     つまらんと言い残したあと、大きく欠伸をしながらソファから腰を上げリビングから出ていく背中を、ワンテンポ遅れて追いかける。


     ハンバーガーは、彼をベットに寝かしつけたあといただくことになりそうだなと、ニヤけた表情のまま、拓也は部屋を後にした。



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    Replies from the creator

    さめはだ

    DONE成長拓2♀
     これが何度目のデートなんてもうわからない。ガキの頃からの付き合いだし、それこそ二人で出かけた回数なんて数えきれないぐらいだ。良く言えば居心地の良さ、悪く言えば慣れ。それだけの時間を、俺は輝二と過ごしてるんだしな。やれ記念日だやれイベントだとはしゃぎたてる性格はしていない。俺の方がテンション上がっちまって「落ち着け」と宥められる始末で、だからこそ何もないただのおデートってなりゃお互いに平坦な心持になる。

     でもさ……。

    『明日、お前が好きそうなことしようと思う。まあ、あまり期待はしないでくれ』

     ってきたら、ただの休日もハッピーでスペシャルな休日に早変わりってもんよッ!!



     待ち合わせは12時。普段の俺たちは合流してから飯食って、買い物したけりゃ付き合うし逆に付き合ってももらう流れが主流だ。映画だったり水族館だったり、行こうぜの言葉にいいなって返事が俺たちには性が合ってる。前回は輝二が気になっていたパンケーキだったから、今日は俺が行きたかったハンバーグを食べに行った。お目当てのマウンテンハンバーグを前に「ちゃんと食い切れんのか」と若干引き気味な輝二の手元にはいろんな一口ハンバーグがのった定食が。おろしポン酢がのった数個が美味そうでハンバーグ山一切れと交換し合い舌鼓を打つ。小さい口がせっせか動くさまは小動物のようで笑いが漏れ出てしまった。俺を見て、不思議そうに小首を傾げる仕草が小動物感に拍車をかけている。あーかわい。
    1780

    さめはだ

    DONEモブ目線、成長一二。
     鍵を差し込んで解錠し、ドアノブを回す音が聞こえてきた。壁を隔てた向こう側の会話の内容までは聞こえないが、笑い声混じりの話し声はこのボロアパートじゃ振動となって伝わってくる。思わずついて出た特大のため息の後、「くそがァ…」と殺気混じりの呟きがこぼれ落ちた。

     俺の入居と入れ違いで退去していった角部屋にここ最近新しい入居者が入ってきた。このご時世にわざわざ挨拶に来てくれた時、俺が無愛想だったのにも関わらずにこやかに菓子折りを渡してくれた青年に好感を持ったのが記憶に新しい。

     だが、それは幻想だったんじゃないかと思い始めるまでそんなに時間はかからなかった。


    『あッ、ああっ…んぅ…ぁっ…!』

     
    「……」

     ほーら始まった。帰宅して早々、ぱこぱこぱんぱん。今日も今日とていい加減にしてほしい。残業もなく、定時に帰れたことを祝して買った発泡酒が途端に不味くなる。…いや、嘘です。正直、めちゃくちゃ興奮してる。出会いもなく、花のない生活を送っている俺にとってこんな刺激的な出来事は他にない。漏れないように抑えた声もたまらないけど耐えきれず出た裏返った掠れた声も唆られる。あの好青年がどんな美人を連れ込んでるのかと、何度想像したことか…。
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