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    nino_0904

    ニノマエのぽいぽいする場所

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    nino_0904

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    兄上が準備運動を始めました。

    いい加減タイトルをつけたい。
    もう、タイトル未定がタイトルでいい?(よくない)

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    recommended works

    takami180

    PROGRESS長編曦澄11
    兄上やらかしの全貌
    (重要なネタバレを含みます)
     蓮花塢の風は夏の名残をはらみ、まとわりつくようにして通りすぎる。
     江澄は自室の窓辺から暗い蓮花湖を見下ろした。片手には盃を、片手には酒壺を持っている。
     一口、二口、酒を含む。雲夢の酒である。
     天子笑はこれもまた美味であるが、雲夢の酒はもう少し辛い。
     もう、三日前になる。雲深不知処で天子笑を飲み、浮かれた自分はこともあろうに藍曦臣に酒をすすめた。
     まったく余計なことをしたものだ。
     江澄は舌を打った。
     
     酒を飲んだ藍曦臣は、しばらくはただにこにことしていただけだった。
    「味はどうだ?」
    「味、ですか」
    「うまいだろう?」
    「そうですね。おいしい……」
     突然、藍曦臣の目から涙が落ちた。ぽたぽたと流れ落ちていく涙に、江澄はぎょっとした。
    「ど、どうかしたか」
    「ここで、おいしいお茶をいただきました。二人で」
    「二人?」
    「阿瑶と二人です」
     胸を衝かれた。
    「阿瑶は本当に優しい」
     息がうまく吸えない。どうして奴の名前が出てくる。
    「私が蘭陵のお茶を好むことを覚えていてくれて、おみやげにといただいたことがありました」
     動転する江澄をよそに、藍曦臣は泣きながら、またにっこり 1527

    takami180

    PROGRESS続長編曦澄5
    あなたに言えないことがある
     机上に広げられているのは文である。藤色の料紙に麗しい手跡が映える。
     江澄はその文をひっくり返し、また表に返す。
     何度見ても、藍曦臣からの文である。
     ——正月が明けたら、忙しくなる前に、一度そちらにうかがいます。あなたがお忙しいようなら半刻でもかまいません。一目、お会いしたい。
     江澄はもう一度文を伏せた。手を組んで額を乗せる。頭が痛い。
     会いたい、とは思う。嬉しくもある。それと同じだけ、会いたくない。
     会ったら言わねばならない。先日の言葉を撤回して、謝罪をして、そうしたら。
     きっと二度と会えなくなる。
     江澄にはそれが正しい道筋に見えた。誰だって、自分を騙した人物には会いたくないに決まっている。
     江澄は袷のあたりをぎゅっとつかんだ。
     痛かった。痛くて今にも血が吹き出してきそうだ。
     だが、現実に鮮血はなく、江澄の目の前には文がある。
     いっそ、書いてしまおうか。いや、文に書いてはそれこそ二度と会えなくなる。もう一度くらいは会いたい。
     自分がこれほど厚顔無恥とは知らなかった。
     江澄は文を片付けると、料紙を広げた。ともかくも返事を送って日取りを決めよう。
     まだ、日は 1610