皇帝陛下の独白 繰り返すため息の理由を聞かれてもきっと私は答えられない。
気づいたら彼の姿を目で追って、彼のことばかり考えている──
皇帝と呼ばれるようになってから数か月ほどは、余計なことを考える暇もないほど忙しかった。それは私にとって、むしろ良かったのかもしれない──父上や兄さんを失った悲しみ、帝国を背負っていかなければならない重圧、それらに心を潰される余裕さえなかったのだから。やらなければならないことに追われているうちに、いつの間にか時間は過ぎて──そんな日々の中で、私は周りの人々に支えられていることを知り、不思議と前向きな気持ちになれた。もちろん、ふとした瞬間に寂しさを感じることもあるけれど。
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