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    0505mmyy

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    ゆるふわ鬼舞炭。

    「……またこんなところでどうしたんだ、無惨」

    炭治郎は驚きやら恥ずかしさやらで頭がいっぱいになった。一方、その原因の男は涼しい顔をしたままである。

    「どうしたんだと言われてもな。今その気になったから、としか言いようがないな」
    「そんな…っ、適当な理由で…!」

    炭治郎は顔を真っ赤にしながら己の手を見た。
    その手は無惨によってがっしりと掴まれていた。いわゆる"恋人繋ぎ"であった。

    「こんな街中で手を繋がなくても……!」
    「別に私たちは交際しているから良いだろう?何か問題でも?」

    この会話はもう何度目だろう。事ある毎に無惨は人が大勢いる中で手を繋いできて、炭治郎が恥ずかしくて振りほどくという一連の流れは。
    炭治郎の方だって本当に嫌という訳ではない。ただ、まだ慣れないだけなのだ。交際を始めたのもほんのひと月前から。
    そのため未だ手を繋ぐことさえも炭治郎にとってはハードルが高いものなのだ。


    そんな中で炭治郎はむっと顔をしかめたままでいると、突然無惨はぽつりと呟いた。
    「………そんなに私と手を繋ぐことが嫌か」
    「えっ」
    「私が嫌いか。お前は私が隣に来ることが気に食わないのか。触れ合うことも不快だったか」
    「えっ、いや、そんな」

    スイッチが切り替わったかのように無惨は負の感情を吐き出し始めた。
    そんなことはないんだ。ただ俺の方の心の準備が出来ていないだけで。本当は、本当は密かに嬉しいと思ってるんだ。
    そう炭治郎は言いたかったけれど、ここは人が行き交う場所。ちらりと時折視線も感じる。ここで大っぴらに言うなんてことは到底出来ない。

    「…………」

    しばらく気持ちの天秤にかけた結果、ぐっと炭治郎は無惨の手を握り返した。
    「……!」
    その事に無惨は驚き、目を見開かせて微笑んだ。
    「……少しだけだから、な」
    首まで真っ赤に染めた炭治郎は小声でそう言ったものの、繋がれた手は家に帰るまで離されることはなかった。
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