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    ayako

    @ayako_gh

    グホ(DQ11)とバロ弟子(大逆転裁判)

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    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。気持ちだけすけべ。■もう考えるのは止めた


     敵対組織を一つ潰して、チェズレイとモクマはどぶろくで祝杯をあげていた。ソファに並んで座るとぐい呑み同士を軽くぶつけて乾杯する。下戸のチェズレイは以前、モクマに付き合って痛い目を見たので本当に舐めるように飲んでいる。だが、楽しいことがあった時には飲むと決めたモクマのペースは速い。次々と杯を空けていく。
    「そんなに飲んで大丈夫ですか」
    「ん~、へーきへーき。今夜はとことんまで飲んじゃうからね~」
     いつの間にか一升瓶の中身が半分ほどになっている。そこでチェズレイはモクマがぐい呑みを空にしたタイミングを見計らって、それを取り上げた。
    「ああっ、チェズレイのいけずぅ~」
    「そうやって瞳を潤ませれば私が折れるとでも思っているんですか?」
     モクマが腕を伸ばしてぐい呑みを取り返そうとしてくるのを見ながら、冷静に言い放つ。そこでモクマがへらっと笑ってチェズレイの両肩を掴むと強く引き寄せた。アルコールの、どぶろく特有のほのかに甘い匂い。唇にやわらかいものが触れてキスだとわかった。
    「ん、ふ……」
     モクマが唇を舐めて舌を入れてこようとするのに、チェズレイは理性を総動員して 847

    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。チェがモの遺書を見つけてしまった。■愛の言霊


     ヴィンウェイ、セーフハウスにて。
     昼過ぎ。チェズレイがモクマの部屋に、昨晩置き忘れた懐中時計を取りに入った。事前にいつでも部屋に入っていいと言われているので、こそこそする必要はない。部屋の中はいつもと同じで、意外と整理整頓されていた。
     ――あの人のことだから、もっと散らかった部屋になるかと思っていたけれど。よく考えればものをほとんど持たない放浪生活を二十年も続けていた彼の部屋が散らかるなんてないのだ。
     ベッドと机と椅子があって、ニンジャジャングッズが棚に並んでいる。彼が好きな酒類は「一緒に飲もう」と決めて以来はキッチンに置かれているので、その他にはなにもない。チェズレイはベッドサイドから懐中時計を取り上げる。と、ベッドのマットレスの下から何か白い紙? いや、封筒だ。そんなものがはみ出している。なんだか気になって――というよりは嫌な予感がして、半ば反射的にその封筒を引っ張り出した。
     その封筒の表には『遺書』と書かれていたので、チェズレイは硬直してしまう。封がされていないようだったので、中身の折りたたまれた便箋を引き抜く。そこには丁寧な縦書きの文字が並んでいて、そ 827

    高間晴

    DONEチェズモク。チェズの髪を切るモクの話。■ノスタルジーに浸って


    「モクマさん、私の髪を切ってくださいませんか」
     リビングのソファで、暇つぶしにタブレットをいじっていたときだった。スリッパの音が近づいてきたと思ったら、チェズレイがだしぬけにそう言う。モクマは一瞬何を言われたのか理解できなくて、チェズレイに訊く。
    「え? 何つったのチェズレイさん」
    「ですから、私の髪を切ってほしいと言ってるんです」
     チェズレイは、腰まで届くプラチナブロンドを揺らしながら言った。その髪は流れの半ばをモーブカラーの細いリボンでゆるく束ねている。思えば、はじめて会った頃よりだいぶ髪が伸びたものだ、とモクマは感慨にふける。って、そうじゃなくて。軽く頭を振って思考を呼び戻すと、アメジストの瞳が瞬いてふわりと微笑む。――モクマがこの顔に弱いと知った上でやっているのだから、たちが悪い。
     チェズレイはモクマの隣に座り、その手を取って白手袋の手で包む。
    「お願いします」
    「い、いや。人の髪を切るだなんて、おじさんそんな器用なこと出来ないからね?」
     モクマはチェズレイの手を振り払う。下手なことをしてこの可愛い年下の恋人の美しさを損なってしまうのが怖かっ 1901

    高間晴

    DONE手作りの栞とファーストキスのチェズモクの話。■眠れない夜、君のせいだよ


     何、読んでんだろ。
     チェズレイはよく本を読む。今日もリビングのソファで読書をしている。それをモクマはソファの背中側に回り込んで、膝の上に開かれたハードカバーのページを見てみる。だが、数行読んだところで、何のことなのか頭がこんがらがるような感覚に襲われたので読むのをやめた。
    「どうしました、モクマさん」
    「いんや。お前さんやっぱ頭脳派だな~って思って」
     チェズレイは薄く微笑むと栞も挟まず本を閉じてしまう。それを見てモクマは目を見開く。
    「ありゃ、お前さん栞挟まないの?」
    「ええ。どこまで読んだかは覚えていますので」
    「は~……じゃあおじさんの作った栞、いらないかあ」
    「栞?」
     チェズレイが小首を傾げてきたので、モクマは背後に持っていた手作りの栞を差し出す。受け取って、チェズレイはまじまじと見つめる。紫色の花を押し花にして作った栞を指差してモクマが説明する。
    「お前さんよく本読んでるみたいだから、どうかな~って思って作っちゃった」
     そこでモクマは少し照れくさそうに笑う。
    「昔におカンやイズミ様が作ってたのの見様見真似だけどさ、なかなかうまく出来てる 2411

    高間晴

    DONEチェズモクワンライ「温泉/騙し騙され」。■とある温泉旅館にて


    「いや~、いい湯だったねえ」
     浴衣のモクマが同じく浴衣姿のチェズレイの隣で笑う。
     ここはとある国の温泉旅館。最近チェズレイが根を詰めすぎなのを見かねたモクマが、半ば無理矢理に休みを取らせて連れてきたのだ。
     それでもチェズレイは少しうつむいて、晴れない顔をしている。
    「すみません、私のせいで足湯しか入れなくて」
    「いいのいいの。この旅行はお前さんのためなんだから」
     ひらひら手を振りながらモクマが笑う。
     チェズレイの潔癖症は一朝一夕で治るものではないとわかっている。足湯に入れるようになっただけでも大進歩だ。
    「なんならおじさんは、お前さんが寝た後にでも大浴場に行けばいいし」
     ここの温泉はアルカリ性単純泉で、肩こりなどに効果があるほか、美肌にもよいとされている。部屋にも源泉かけ流しの家族風呂がついているところを選んだので、チェズレイは後でそこに入ればいいだろうとモクマは考えた。
     そこでチェズレイがモクマの浴衣の袂を掴んで引っ張る。顔を上げれば、度々モクマにだけ見せる、『お願い事』をするときの顔をしている。
    「モクマさァん……ここまで連れてきておいて私を 2758