しっとりとした肌の感触とぬくぬくとした抱き心地のいい体。思わず真面目に考えた。大柄な部類に成長したのは、恋人を腕に閉じ込めるためだったんだな、と。
寝起きでぼやけた視界に恋人の旋毛が見えて、そこに唇を押し当てる。
「ん……」
もぞり、と腕の中の恋人が小さく身じろぎした。お互い職業柄なのか、どっぷりと眠りに浸かっているようで小さな変化には敏感だ。とはいえ、今は安心できる場所にいるとわかっているからなのか、恋人もそれ以上の覚醒はないようだった。
恋人であるマーヴェリックが住むモハーヴェにやってきたのは、クリスマスも過ぎた年の瀬も差し迫った頃。もしかしたら年内に会いに行くのは無理かもしれない。そんな考えが頭に浮かびつつも、なにがなんでも年内にマーヴェリックに会いたい気持ちで、ブロンコをかっ飛ばして、ようやっとマーヴェリックが住むハンガーに着いたのは、十二月三十日の深夜に近い時間帯。寝ずに待ってくれていたマーヴェリックを抱きしめて「ただいま」のキスをして、そこから先は記憶にない。
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