君と見る花火について「一緒に花火を見に行きませんか?」
「はぁ?」
◆ ◆ ◆
良い子も草木も寝静まる真夜中。パソコンのディスプレイ下部でデジタル時計が表示している時刻は午前零時過ぎ。
流石にこの時間になれば星奏館の共有ルームも人気がなくなるもので。『副所長は未成年なんですから』と労働法適用外のくせに22時の定刻でコズプロスタッフたちにESビルを追い出される俺の第二の仕事場はここだった。自室に戻れば健康優良児の二人組がすやすやと眠っている上、競合他社の副所長まで居るのだ。これくらいは許してもらいたい。
誰も使用していないローテーブルに社外に持ち出しても良いレベルの業務資料を広げる。多種多様なアイドルが賑やかに集まる日中とは打って変わり、今日もこの時間の共有ルームは静かでキーボードを叩く俺の指は軽快に踊った。
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