大切な思い出、初恋の感動 一.現在
「ディーン、ただいま〜!」
帰宅したサムがディーンに花束を渡した。
「おかえり、お! 今日の花は勝訴か?」
花束を受け取ったディーンが鼻を近付けると、匂いを嗅いだ。甘くロマンティックな香りがディーンの鼻に抜けていく。
そして、大きな真っ白の花瓶に花束を飾った。
「勿論! ディーン、今日は何のパイ?」
「今日はチェリーパイ。サミーが勝つと思って、車飛ばして買いに行って良かったぜ」
ディーンは冷蔵庫を開けて、中に置いてあるチェリーパイを得意そうに見せた。
このチェリーパイは、ディーンの母親であるメアリーの店で作られたものであり、二人にとっては思い出の味だった。
「相変わらず、メアリーのパイは美味しそうだね」
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