金属の冷たさと肌の温かさ 暗い部屋でベッドに横になってセルフォンを弄る。テキストの向こうには二十年は離れていた、付き合いがゆっくりと動きだした年の離れた人物がいる。あれから何度かのニューイヤーを迎える度に一緒に過ごせないかと申請を出していたが、其の度に向こうがトラブルを起こして休暇申請が取り消されたり、こちら側が海上任務に出ていたりと一緒に過ごせた例がなかった。
今年はおれの方が休暇申請が通ったが、向こうが無理だった。その代わりに数日ずらした日には、一緒に過ごせることになった。と分かったのは、いま分かったことだけれど。
「……マーヴェリックか」
後ろからくぐもった声が聞こえた。眠そうなそれは先程までセックスをしていた相手で、腰に回された腕が意志を持って引き寄せられる。
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