隠し味は俺の愛 目を覚ますと、視界にまず飛び込んできたのは口を薄く開いてうつ伏せに寝ている恋人の姿。暑いからとセックスをしてシャワーを浴びた後に、何も着ずに寝ているせいで薄いブランケットからなだらかな肩が覗いているのが見えた。
起こさないようにそっと手で触れると少し汗ばんだ肌がしっとりと掌に吸い付き、まるで昨夜の情事の時を思い出させた。久しぶりのふたりきりの夜は玄関から始まって、きっとそこからふたりの服が点々と散らばってリビング、廊下、そしてこのベッドルームまで続いているはずだ。多分シャワールームとの間にもタオルが落ちているはずだ。
肩に置いた手をそのまま背中のほうへブランケットを剥ぐ様に滑らせると、筋肉のついた背筋に赤い痕がいくつも散りばめられて、その中に血が多少滲んだ歯型もあり、その強さに自分のした事であるのに苦笑いが漏れた。
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