約束の涯て(仮 七海建人は、前世というものがある。思い出したのは高校入学の頃である。
高校は地元、そこそこ田舎の田んぼの中ののどかな校風であった。そこそこ田舎なだけあって外見の上からの隔意は少々あったがそれも人によるという程度であからさまな陰湿ないじめなどには遭ったことはない。とにかく長閑だ。
どのくらいかと言えば、だだっ広がる田んぼの中に学校があるのだ。
あの山の中とどっちがいいんだろうかと、具体的に何かと比較した事に気づいて、疑問を抱いた。明確な比較対象の山中の学校なぞ行った事実はなかったからだ。
そこをきっかけにしてどんどん手繰られる記憶に驚いた。自分の生まれる前の自分の記憶によれば、我ながらなかなかハード且つ重い人生を送ったらしい。
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