Dormiglione 目覚めるまでの数秒、不思議な感覚を味わう。誰かと手を繋ぐことなんて、道に迷った誰かの手を職務上、仕方なく引く時ぐらい。十数年振りだろう。
イ・ドンシクに出会うずっと前。最後に望んで手を繋いだのは、誰だっただろうか。僕は――
「ジュウォナ」
ようやく慣れてきた、隣にドンシクのいる朝。
「……ぁあ、おはようございます」
ドンシクは寝姿勢に合わせた流線型の抱き枕に、右足を乗せるようにして眠るのが常だ。誕生日プレゼントのおまけでジュウォンが用意したものを、どうやら気に入ってくれているようだった。
足腰の負担を軽減できるし、パーソナルスペースが広いジュウォンとも、寝ている間にお互いのスペースを狭めにくい。何より、枕に抱きついて眠る様子をかわいいと思っていることは、ドンシクには内緒だ。
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