生きてる人間が1番怖い俺は研修を終えたばかりの新入りの幽霊だ。
前任者の寿命が短いというのでこの診療所に派遣されてきたが前任者が姿を現さないので引継ぎもなしにとりあえず仕事に取り掛かることにした。
ターゲットはホラー耐性がなさそうな童顔の男である。洗面所に男がやってきたところで鏡の向こうから乗り上げるように姿を見せると男は「ぎゃーーー!」と悲鳴をあげて逃げていった。
初めてにしては上出来じゃないか?とニヤニヤしながら姿を透明にしてその後の反応を見るために童顔の男が走っていった方向へ行き、話し声が聞こえてくる部屋の扉から中を覗く。
すると先ほどの童顔の男が「怖かった…!」と大男に抱きついていて大男も「よしよし、怖かったな」と抱きしめ返して頭を撫でているのが見えた。
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