ジョニディエ/フライドチキンを君と。 ぬるり。
いやに指先に残る感触が、脳味噌の最奥で危険信号を鳴らしている。吐き出す息が荒い。どくどく脈打つ心拍はフルマラソンを走りきった直後に酷似しており、口から心の臓が飛び出してそのままアスファルトの上を跳ねていくかのようだった。
目の前に転がる、既に体温を失った女の死体を見下ろしながら、ぼく──ジョニィ・ジョースターは、溢れ出る涙を只管に拭う。
ひとをころしてしまった。
濁流のように荒れ狂う思考回路の中、目の前に形として存在するそれだけが唯一の“事実”だった。
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「────それで?君、オレが来るまでによく逃げなかったな。ジョースターくんのことだ、このDioに罪をなすり付けて脱兎のごとく場を去るものだと思っていたが」
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