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    pheas357

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    pheas357

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    🍊🌻のようななにか

    クリスマス合わせだったつもりが直前に色々あって書けない期になってしまった結果何故か今(゚∀゚)アヒャ

    …つまり中断→続きなのでなんか矛盾とか重複とか出てるかもだけど気にしない(`・ω・´)

    これをどうしたものだろうか、とコルサはその日何度目かの問いを繰り返す。もうすぐクリスマスになるこの時期、町に飾りや電飾が増えてくるのに合わせてアトリエ周りにも様々な飾りつけをするのがここ何年かの習慣だった。
    電飾のコードをつける途中、余剰をとりあえず腕や体にかけていたのだが、その状態で動き回るうちに完全に絡まってしまった。
    しかも片腕と片足が完全に伸びきったまま磔になったように固定されてしまい、自由な方の手でほどく事も出来ない。いつものロープと違い、必要な長さを完全に計算した上で用意した電気コードは途中で切る事を想定していないために、ナイフも持っていなかった。ポケモン達も全員家の中で、しかもボールに入っている。
    上着や手袋は身に着けているが、冬の夜に外で動かずにいればさすがに冷えてくる。特にコードの巻付いた手足は血行が阻害されているのか、寒さよりも痺れが酷くなってきた。
    どうすることも出来ないまま時間だけが過ぎていく。もうだいぶ遅くなっていて通行人は期待できない。
    次第に眠くなってきて、目を閉じかけたコルサだったが、我に返って頭を振り、目を開く。ほんの一瞬、一晩寝て朝になれば誰か通るのではないかと思ったが、理性は今眠れば二度と目が覚めることはないと警告している。
    自由な方の手足や首を動かし続けて、交互に襲ってくる眠気と寒さと戦い続けたが、冷えのせいか疲れのせいか、全身が強張って動きも鈍くなっていく。
    絶望的な現実を脳が理解し始めた頃、不意に人に声をかけられた。意味を理解しないまま反射的に返事を返し、それから初めてそこにハッサクが立っている事に気付く。何事か言いながら近付いてきてコードを外されるうちに安堵から全身の力が抜けそうになるのをどうにか踏みとどまった。
    体が固まって動けなかったが、幸い立つ力はまだ失われていなかった。少し待って血が通えば自力で家まで歩けそうだ……と思っているうちに、ハッサクに抱えあげられる。
    「あ、いやあの、自分で……歩ける……、から……」
    慌てて抗議の声を上げるが、ハッサクは一切反応を返さない。コルサの方を見ようともせず、口もきかずに、大股で家に向かって歩いている。そんなハッサクにコルサもそれ以上何も言えなくなる。自力で降りるだけの力もなく、結局そのままで運ばれた。
    家に入ってもハッサクの態度は相変わらずで、無言のまま険しい表情でコルサを椅子に座らせてから手袋と靴を脱がせ、冷え切った手足を順番に擦っている。こわごわ様子を窺うようにハッサクの顔を見て、すぐにいたたまれなくなって目をそらす。
    手足に血が通い始める軽い痛みと、態度と裏腹にいつも通り強くて優しいハッサクの手の感触が心地よくて、だんだんに頭がぼんやりとしてきた。暖かい場所に移動して思い出したように出て来た震えも収まり、どうにか止めようという無駄な努力のためにかき集めた力も用を失って霧散する。こうなると、あとは目を閉じて、そこに現れた深淵に意識を沈めるだけだった。心も体も底のない淵へと沈んでいくような感覚に包まれ、それも次第に薄く遠くなって……
    突然闇の底から何かに引き上げられた。目を開き、数秒ほどたって、ハッサクと正面から目が合う。
    「コルさん!?大丈夫ですか!?」
    悲鳴のように叫びながら体を揺すられる。力を失ったコルサの姿を、緊急事態と思ったようだ。
    「大丈夫……、あったかく、なったから……」
    「ああ……」
    言われて初めて、コルサの状態が落ち着いた事に気付いたらしい。コルサの手に自分の手をそっと重ねて、しっかり血の通った温かさを確かめる。
    しばらくそうやって黙っている。コルサも手をよけるのは惜しい気がして、そのまま動かずにいた。
    突然ハッサクがコルサを飛びつくような勢いで抱きしめる。驚いて固まるコルサに、ハッサクが震えているのが伝わってきた。どう反応すべきかと考えているところへ
    「ゴル"ざん"ーーーーーー!!よ"がっだあ"ー!!」
    顔は見えなかったが、確実に泣いているのだろう。コルサもそっと手を伸ばしてハッサクの背に触れる。抱きしめ返してそっと背をさするうちに、コルサの視界も滲む。
    今までにも似たような事はあったが、今回は最悪の事態も起こり得る状況だったのだから、状態が良くなるまでの間、相当に気が張っていたのだろう。泣き止んで落ち着く気配がした後でも、ハッサクはコルサから離れようとしなかった。
    コルサもそのままハッサクに身を委ねる。先ほどまでよりも更に強く自身を包み込む腕に安心してもう一度目を閉じた。再び何も見えなくなっても、今度はハッサクが捕まえていてくれるから沈んでしまう事はないとわかっているから。
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