もう、忘れさせて「ほら、これ噛まないで飲み込んでみ?」
口元に運ばれたご飯を大きな口で迎え入れ、言われた通り噛まずに飲み込む。ごっくん。すると、喉をイガイガと痛めていた魚の骨は無くなって、差し出された麦茶で喉を潤し一安心。
「大丈夫?」
「うん。大丈夫!」
ごめんな、ちゃんと骨も取っておけば良かったな、と眉を下げたたかしお兄ちゃんにブンブンと頭を振る。
「たかしお兄ちゃんのご飯、美味しいよ。いつもありがとう!」
ルナちゃんのお兄ちゃんであるたかしお兄ちゃんは、いつだってとっても優しい。お父さんとお母さんが忙しくて、ひとりで家に居ることが多い私を夕飯に誘ってくれる。たかしお兄ちゃんの作るご飯はどれも美味しくて、温かくて、何よりみんなで食べるのがとっても楽しい。
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