おめがばーす鶴鯉月初めて鯉登音之進が月島軍曹を見た感想は【冴えない小さな男】であった。以前から鶴見により名前は幾度も聞かされており、尚且つ優秀で屈強な兵士と聞いていたので実物を目にした鯉登としては拍子抜けをし、些か信じがたいものがあった。
鯉登が正式に第7師団に入隊が決まったので月島を補佐役に、という紹介の場を鶴見が設けたのだ。鶴見から紹介された月島は軍人の手本というに相応しい敬礼をし、『先程鶴見中尉殿より紹介預かりました月島と申します。僭越ながらこれから鯉登少尉殿の補佐役として就かせて頂きます故、何卒よろしく申し上げます』と落ち着いた声色ながらもはっきりとした語調で言った。鯉登は上から下まで遠慮の無い視線を月島に浴びせながら『ああ、これから宜しく頼む』とだけ少し不服そうな声で答えた。
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