普段は口にしないこと 特に口を開く事もなく、お互い気ままに時間を使っていた。ヒル魔は机に向かってキーボードを叩き武蔵は床上にあぐらで読書。そういう時間がふと途切れたのはヒル魔が視線を感じたからだ。何をしようというのでもない、ぼんやりとした武蔵の視線を。
「なんだ、腹でも減ったか」
「いや、まあ…。なんとなくな」
出前でも取るか、と目で促したが武蔵の反応はどことなく鈍い。何か言いたいのか、何でもないのか、はっきりしない目線が揺れている。相手をするのも面倒なので放置一択と目をモニタに戻すと、武蔵がぽつりと小さくつぶやく。何だ、何が言いたいと再度目を向ければいつもより数倍のアホ面と目が合う。
「お前は足は、見た目が良いよなぁ」
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