パティシエのタルタリヤと大学の先生な鍾離のお話①ふわり、と。
鼻先を掠めた匂いに思わず顔を上げる。会話も、物音も少なく、かすかに聞こえるのは紙の擦れる僅かな音ばかりの図書館にはあまりにそぐわない、甘い匂い。それは書物へと没頭して、つい、食事を忘れがちな己の胃を起動させるには十分なものだった。壁にかかるシンプルな丸時計を見るともう昼はとうに過ぎ、どちらかと言えば八つ時に近い。なるほど、甘いものを食べるにはちょうどいいな、と。昼食すら食べてないことからは目を背け、手にしていた本を棚へと戻した。
さて何が食べたいか…足音を飲み込むカーペット素材の床を踏み締めつつ、書籍で埋まる棚の間を進む。平日の昼間なせいか自分以外の人影を見かけなかったのだが、知らぬうちにもう一人、利用者が増えていたらしい。珍しい、と。なんとなしに興味が引かれ、知らず足が向く。こちらの事など気がついても居ないのだろうその人物は、立ったまま手にした本を熱心に読んでいた。赤みの強い茶色の髪の下、スッと通った鼻筋と伏せられた目を縁取る長い睫毛。恐らく自分よりは歳若いその青年は、特に目立つ格好をしている訳でもないのに、何故か無視できない存在感があった。ここまで気になるという事は、もしかしたらどこかで会った事のある同業者か…生徒の一人かもしれない、と。記憶の中で赤毛を探すが残念ながら思い当たる人物はみつからず。知り合いでは無いのならばあまり見ていては失礼にあたる、と無理やり視線を剥いで、青年の後ろを通り過ぎた。

【纯日和&凪茨】赛博朋克2077——衰败乐园009军用科技一瞬间，涟纯想到了很多，他想到阿日前辈为兄长掖上的被角，想到阿日前辈为家族做出的牺牲，想到阿日前辈做完义体表演，在洗手间吐得昏天黑地。

而如今，他梦想着守护的家人，居然是幕后嫌疑人？

涟纯感觉到一阵晕眩，前所未有的荒谬感席卷了他的大脑，“不可能……他杀害阿日前辈有什么好处，阿日前辈不是巴氏的形象代表吗？”

七种茨轻轻叹息了一声，“正是因为如此……才是把双刃剑。之前并没有告诉过你们，但其实以前公司开会时，就有不少人反对那位TOMOE成为掌权人。因为殿下的义体覆盖度已经达到了惊人的80%，他们以殿下随时可能变成赛博疯子，到时候会为品牌抹黑为由，常常向那位TOMOE施压。意思是要么选择除掉殿下这样的高危人物，继而真正地接管巴氏。要么选择守护弟弟，将自己的权利分给其他股东。”