そのひとはいつだって、暗くて冷たい宇宙でただひとり、真っ直ぐと光を見詰めていた。
それは、宇宙に浮かぶ星のようだった。
「ベリアルさん!」
星が振り返る。
釣り上がった輝きの切れ長の目は、常にその奥で光を燃やしている。星の光のようなのに、その目はもっと、星に住む生き物のように短い感覚で命を燃やしているように感じる。もう何万年も然程変化していない、この光の国の星とは違う。このひとは常に先を求めている。
「まーた来ちまったのか。ガキ。」
だからこそこの国ではちょっと浮いていて、自分が惹かれてしまう相手だった。
「ぼく……俺はもうガキじゃありませんよ!」
「へー。じゃあオマエ、ココがどこだか、分かるか?」
「どこって……、」
う、うちゅう……?あまりにも漠然とした問い掛けに戸惑う。
そのせいで、へー、なんて、白々しい返しをされる。
「オマエがついさっきまでボケっとしてた光の国だって、宇宙の中に存在しているものだぞ?なのに面白い答えを言うな?へー?」
「え!それは、まあ、確かに。じゃ、じゃあ、えっと。」
ベリアルは間怠っこしいことが嫌いだ。なので回りくどい意地悪をしてでもこちらが考えた答えを聞きたがる時は、己を律するためか、酷く静謐な空気を纏う。美しいひとだ。言動が荒々しいのは間違い無いが、その身の内でも目紛しく、様々な考えや可能性を、無価値と言われてしまうようなものも含めて、嵐のように思い巡らせ、最も真っ直ぐな答えに、真っ直ぐ進んでゆく。