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    【プライベッターより移動】熱い視線を向けてくるマ君に耐えられなくなるヘクおじのヘクマン

    熱視線は無意識に この部屋に入ってから、およそ三十分が経つ。
    この部屋の主はベッドに寄りかかりながら床に座り静かに資料に目を通している。俺はそーっとその気配を感じながらベッドの上で本を読んでいた。……ちっともページは進まないが。背が高くて普段は見ることのできない後頭部のつむじが見える。その下には藤色のリボンで結ばれた髪。艶やかと言うわけではないが、清潔感がある男の髪。その清潔感に似合わぬ煙草の匂いを思い出す。この人の纏う煙草の香は、どうしてか、色事を感じさせるからか顔が熱くなった。
    「悪いが、もう少し待ってな」
     約束の時間。ノックをして部屋に入る。座っている傍に行き、とすんと座るとヘクトール様はそう言ってぽんぽんと頭を撫でた。好きなことをして良いと言われたが、仕事の邪魔をしても悪い。本棚から適当な本を取って壁を背にベッドに座った。
     そこから三十分。本を読もうとしてもヘクトール様の姿が目に入ってしまうと頭に入らなかった。結んだ髪の下には項が少しだけ見える。腕とは違う日に焼けていない白い色は、きっと俺だけしか気がついていない色だ。そしてそこから固い曲線を描いてつながっていく肩。資料をめくるたびに軽く上下する様は、格好いいと思う他なかった。ほう、とため息を吐く。こんな至近距離でヘクトール様を見ることが出来るなんて、きっと今生の運を全て使い尽くしたと思っていた。まさか深いところまで触れることが出来る関係になったなんて生前の俺に言ったらきっと卒倒するに違いないとも思った。……ヘクトール様に触れたい。仕事が終わったらそっと隣に行って、寄りかかるくらいは許してくれるだろうか。
    「随分とまぁ熱い視線をくれちゃって。オジサン、我慢できなくなっちゃうかもしれないじゃない」
     溶けてしまいそうな甘い声に、はっと目を遣る。目を細めたヘクトール様が首だけ振り返って俺を見ていた。
    「もう少しだけ待てるな?」
    「……っす」
     こくん、と頷く。あと、もう少し。……もう少しなら見つめていたい。普段見ることのない景色も、真剣に資料に向かう大人の姿も。全てが俺のものだと錯覚してしまいそうだった。
    「マンドリカルド」
     終わったよ、とベッドに乗り上げてきたヘクトール様に頭を撫でられる。読み終わったであろう資料は乱雑に床に放り投げられたのが見えた。途端、景色が反転する。見えるのは俺の上で見下ろすヘクトール様と真っ白い天井。背中の下には二人分の体重がかけられて軽く軋んだベッド。
    「ごめんな、オジサン我慢できなかったみたい」
     優しい目の奥にぎらりとした金色の光が見えた。求められている。嬉しい。ヘクトール様の太い首に抱きついて一瞬だけ口づける。
    「我慢しなくて、いいっす」
     途端、ヘクトール様の顔が赤くなった。
    「っ、お前なぁっ」
     荒々しく口づけをされる。緩く開いたところから舌が侵入してきて、俺の舌を絡めとる。くちゅ、くちゅという粘液の混ざるような音に耳からも魔力が流されてくるようだった。しばらくそうしていた後、唇が離された。つぅっと延びた銀糸が行為の激しさを物語っていた。
    「覚悟しろよ」
     オジサンまだまだ現役だからな、と悪い笑みを浮かべるヘクトール様も素敵だと思いながらも、これから始まる長い夜の予感に甘く震えてしまった。
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