ちいさいケイ様といっしょ2「ゔ、ゔぅ…」
死にかけのトドのような声を出して、ベッドの上で上半身をゆっくりと起こす。ベッドの側に置いてある一人がけのソファーの上のスマホを鷲掴む。
むにゅ───
なにやら柔らかい感触が手のひらに伝わる。
「いっ…てぇ!!?」
鋭い痛みが手のひらに走り、一気に目が覚める。痛む手を引き寄せて見ると、ちいさな歯型がくっきりとついていた。
そうだ。完全に失念していた。
ソファーに目を向けると、柔らかいふわふわのタオルに包まれたちいさなマスコット────頭の中ではちいさいケイ様と呼んでいる────が、ふんふんという荒い鼻息と共にこちらを睨んでいた。
「ごめん、そういえばそこで寝てたんだよね……」
じんじんと痛む歯型をさすりながら謝罪する。
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