マフィア🎹さんが負ける話ジャラッと金属の音がして目が覚める。全面コンクリートの牢屋に寝かされていた。
遂に捕まったのかと察した。
静かな空間で何をされるのかわからない恐怖で震えていると、コンクリートを踏むヒール音が聞こえてきた。
ガチャッと金属の重い扉が開き、人が入ってきた。
『おはよー起きたー?
綺麗な黒のドレスに、黒髪のオールバック、そして女形を彷彿とさせるきれいな顔。華やかな容姿は綺麗な女性に見えるが、彼は男だ。
紛れもない敵対組織のマフィアのはずだが…
こんなに綺麗な人とは聞いてなかった。正直一目惚れした。
『なーんだ…平気そうじゃん』
冷たい瞳が僕を見つめる。
さっきからドキドキがとまらない。彼が動く度惚れていく。
『さ~…どうやって拷問しよっかなぁ…俺グロいの無理だしなぁ』
ニヤニヤと黒い笑みを浮かべながら僕の顔を触る。ほんとにきれいな顔だなと思っていると彼のきれいな手が僕の首に伸びた。
『首折っちゃおっか?』
言っていることは怖いけど首をおられることより顔が近くて気が気でない。
僕は意を決して口を開いた。
(ァ…あのお名前は…)
『は…?うるさ。喋んなよ…』
耳元で低くて冷たい声が聞こえる。もうほんとに気が気でない。
(殺してもいいので…せめて名前くらい…)
『はぁ…うっさいな…』
彼は嫌そうな顔をする。実は僕は彼の名前や素性を把握している。僕だってマフィアだ。
反応が可愛くて、少し泳がせる
(…早く言えよ)
『っ……威勢がいいね…ほんとにムカつくよ…』
彼の顔が歪む。彼は舐められるのを嫌うらしい。
少しこっちが有利になっていることに気付き、思わず笑みが漏れる。
『…は?ww何笑ってんの?舐めてるよね…殺してあげる…♡』
もう我慢できなくなったのか顔を赤くさせて僕に飛びついてくる彼。
『…ねえ、君さ?大切な仲間いるでしょ?もし逆らったらぜーんぶ壊してあげるからねぇ…』
優しく僕を抱きしめながら囁いてくる。精神を壊しているつもりらしい。
(…こっちこそ君を壊してあげるよ。涼架さん…)
彼を抱きしめて囁き返した。
『…は?』
取り乱している。かわいいなぁ…
『…なんだよ…ムカつく…殺してあげる』
勢いよく首を絞められた。流石トップのマフィアなだけあってほんとに折られそうだ。
『んー…苦しいねぇ…可愛そう…いたいね…♡』
彼は嬉しそうな顔をする。だけど僕だって負けてない。
『ぐ…』
首を絞め返した。するっと僕の首から手が離れ、勢いよく体制が壊れる。
僕が涼架さんを押し倒す形になった。綺麗な首を力いっぱい締め上げる。
(…かわいいなぁ♡)
『は…ぇ…はっ…゛』
苦しいのか、もがく度きれいな黒いドレスが汚れていく。
(苦しい?)
『はー…は……く…るし……くないし……』
流石に限界が近いのかくったりときてきた彼の首から手を離す。
『げほっ…は…ぁ…くそ…』
黒いドレスが少しはだけ、首筋が丸見えになる。
僕はポケットから薬を出した。
(これ何かわかります?)
『…な…なに…?』
僕は答えを言う前に彼の首筋に注射器を刺した。
(惚れ薬だよ。)
『…は…♡』
これからは僕のものだね。
そう囁くと彼はぐったりとした瞳で僕を見つめた。