緒ヒカ※ウィンクの日付き合っていない、お互い食事したり家で対局したりするけど恋愛感情はまだ無意識で誰も気づいていない
ヒカル17〜19ぐらい
「緒方せんせー今日はウィンクの日だって。知ってた?」
喫煙所で一服をしていると進藤がいつものように元気にかけてきた。
「廊下を走るんじゃない」といつものように注意しようとしたら声を被されてしまった。
くだらないことをと、正面に来た進藤にムダだと分かっていながら睨んでやると案の定どこ吹く風でくりくりとした大きな目でこちらを見上げる。と、パチっと片目を閉じてウィンクをしてきた。
本人はその気がなくともあまりにもあざとく見えるその姿に盛大なため息がでた。横にいる芦原も「うわっ」と声を上げたのは無視をする。
「……進藤、お前は人前でウィンクするのは止めておけ」
「なんで?」
「……なんででもだ。起こらなくていいトラブルが起こりそうだ」
「ふーん、よくわかんないけど緒方センセーがそう言うならやんないよ。あ、そうだ!じゃあさ緒方センセーのウィンク見せてよ!」
「何がじゃあだ。やらん」
「そんな事言わないでさー見してよー見ーたーいー」
あまりのしつこさと、ちょうどタバコを吸い終わったことも相まって緒方は折れた。
「一度だけだからな」
ウィンクをしようとしたところで緒方はふと思った。今まで遊びでもなんでもやったことなかったなと。
「「えっ!?」」
進藤と芦原の驚きの声が重なった。
パチっ
緒方の両目が同時に閉じられた。
「むっ、ちょっとまて、片目だけ閉じればいいだけ何だよな」
何度も繰り返すが同時に目が閉じられていく。
「緒方さん、反対の目を閉じるのやってみては?片方だけしかできない人とかいますし」
思わず助け舟をだす芦原だったがその助言は何も役立たず、地を這う声で返された。
「既に両方とも試している」
「はぁーまさか緒方センセーが出来ないとは思いもしなかったよ」
「うるさい、今までやる必要も機会もないし、これからもする予定がないから問題ない」
「あはははっ確かにー」
「それに出来なくても相手にさせるのは簡単だしな」
「相手に?」
「相手のまぶたや目じりにキスをすれば自動的にウィンクした状態になるだろ」
何度も瞬きをしたせいか、緒方は答えながらソファに座りメガネを外すと目薬を指しはじめた。
「ふーん……緒方センセー!」
ついでにメガネを拭こうかとハンカチを取り出したところで進藤が近より、今度は何だと顔を上げると間近に進藤の顔が近づいていた。
チュッ
「…………はっ?」
「ホントだー!今緒方センセーちゃんと片目閉じてた!!」
一人満足し、あ、オレ和谷達とメシ行くんでと去っていった。
「……なぁ、芦原。俺、今弄ばれたのか?」
「ははははっ進藤君ですし他意はないかと、だいたいあんなこと言った緒方さんも悪いかと、でも注意はしといたほうがいいかなぁ」
「説教のためにこの話を蒸し返さなきゃならんとは……」
進藤はもちろんこの後食事しながら緒方との話をし、盛大に怒られ、次の日お詫びにとタバコワンカートン持っていったら自分用じゃなくても未成年がタバコを買うなと更に説教され、緒方は和谷達に知られたことに頭を抱え、後日、和谷達に巻き込まれた被害者的可哀想な目で見られ、可哀想な人と見られるのにプライドが傷つくわ、進藤へのほだされながらも被害被る仲間がいることへの安心感を得たことへのショックを受けるわ、そんな動揺した精神状態でもチョモランマ級の高いプライドで乗り切り勝つ緒方二冠防衛