秋、夕暮れの公園にてもう秋か…
大学からの帰り、近道だからとよく通る公園。広く整った並木道は紅葉で彩られていて、嫌でも季節を実感させられた。
夕陽のせいか余計に赤く見える紅葉をもう少し見ていたくて、缶のココアを買ってベンチに座る。
俺がこうして自然を楽しむなんて普段はない事なのに、ふとした時に前世を思い出して感傷に浸っちまう。
そういえば、アイツはどこにいるんだろうか。この世界に、俺と同じように前世の記憶を持って生まれてきただろうか。
『見て下さい!とても綺麗な紅葉ですよ!』
紅葉が揺れるその下で、無邪気に笑ってくれた大事な親友。
四季を何度だって一緒に過ごした大事な恋人。
散歩がてら町中歩き回ってみたり、ほかの町へ出ても周囲を見回してみたりと結構探していたが、結局今日まで見つからなかった。
やっぱり、居ねぇのかな…。
「コビー…」
叶うなら、また、会いてぇよ。、
なんて。
「何ですか?」
幻聴まで聞こえてきた。
どんだけ会いてぇんだ俺は。女々しいな。
「とても綺麗な紅葉ですよ。ヘルメッポさん。」
今度はハッキリと聞こえた。幻聴じゃない。確かに聞き覚えのある声は、俺の隣からきこえてて、そっちに目をやると眼鏡をかけた高校生が座っていて、俺の顔を見て笑ってた。
「こ、コビ……」
「やっと見つけた。お久しぶりです。貴方のコビーですよ。」
死ぬほど探していたのに、見つけられなかった恋人。
「コビー!!!!!」
ココアの缶をベンチに置いて抱きしめた。苦しそうな声が聞こえたが、こいつはそんなのは知らない。
というか泣いてる顔を見られたくないのが一番だった。
「会いたかったです。ずっと。」
コビーの手が俺の背中をぽんぽん叩いてくる。子供をあやすみたいに優しく。
年上なのに情けない…。現世では泣くのはやめようと決めたはずだったんだがなぁ。
「必ず見つけてやるって言ったのにな…。」
「いいんですよ、会えたならそれだけで。」
気持ちを落ち着かせてコビーを離す。
惜しいがここは人目に付く公園で、下手すれば大学の奴に見られてしまう。
話のネタにされるのは嫌だ。
「その制服、この辺の高校だろ?こんなに近くにいたのに、なんで見つけらんなかったんだろうな。」
「あ、ぼく最近越してきたんですよ。」
「最近?」
「一昨日です。海外から……」
「海外!?」
そりゃ、見つけらんねぇわ。