空閑汐♂デイリー【Memories】22「よぉ、久々だな」
「ご無沙汰してます」
久々に訪れた国際航空宇宙学院の飛行教官室で、ひらりと片手を揺らし空閑を迎えたのは吉嗣であった。吉嗣の姿を見つけた空閑も会釈で返す。
「悪いな、卒業生講話やってくれる奴が見つからなくてなぁ」
「っていうか、良いんですか俺で。最終的に航宙士学院中退ですよ?」
何年経っても変わらないジャージ姿で空閑を迎え入れる吉嗣が気安い口調で言葉を紡げば、空閑は眉を下げて彼へと問う。それは依頼を受けた時から、空閑の心に引っかかっていた部分でもあった。
「それで良いんだよ。卒業生講話って基本成功したパターンしか出て来ないけどさ、この学校に入れたからと言って全員が上手く行く訳でもねぇし……そうなった時に立て直せない奴の方が多いんだよ。お前も、分かるだろ?」
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