手がかりとなったのは、彼の白い手袋だった。
闇夜に翼をはためかせる、白装束の男。降谷が管轄外の怪盗を追いかけるはめになったのは、披露した手品を馬鹿にされた、そんな些細なことがきっかけ。
その後、逃げ遂せようとする彼を手錠で捕まえようと試みたが、彼はするりとその枷を抜け、月を背景に空へと羽ばたいてしまった。
たったひとつ、妙な「感じ」を降谷に残して。
その後、怪盗キッドが現場に物証を残したという情報が入ったのは、偶然だった。
ビルの地面に落ちた手袋。そばで血を流して倒れていた窃盗事件の容疑者は、脳挫傷による死亡――ビルの屋上から飛び降りて亡くなったという所見だった。容疑者を助けようとしたキッドの手から、手袋だけ抜けていったのだろう。
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