もうすぐで日付をまたぐころ。
ロックとジャズはベッドでふたり横になっていた。
ふと、ジャズは自身の首から胸にかけてついている赤い跡を撫でた。
「どした、どっか痛いのか?」
問うてくるロックの声は優しい。
ジャズは緩く首を横にふる。
「いや、俺もつけたいな、って…」
そう言ってジャズは恥ずかしそうに顔を伏せる。
「いいぞ」
「へっ?」
ロックがジャズを抱え一緒に起き上がる。
「いいぞ、ほら」
ロックが胸前を開ける。
「…えと、」
「吸いつく感じでやってみな」
そろそろとジャズが近寄り、少し迷ってから鎖骨と首の間あたりを撫でた。
「…ここにする」
「ん、おっけ」
ジャズがロックの首に手を回して近づき、肌に口づけた。
ちゅ、ちゅうっと吸い、離した。
「あれ、ついてない…?」
「ははっ、へたくそ〜」
「むうう……」
「もうちょっと強く吸って、何回か繰り返したらつくぞ」
「…でも、強くしたら痛いんじゃ」
「大丈夫」
ぽんぽんと頭を撫でられる。
「わかった」
今度は先程よりも強めに吸いつき、一旦唇を離すのを数回繰り返す。
「あ、ついた!」
パッと顔を離したジャズの目の先には、ポッと咲いた赤い跡が映っていた。
「おお、上手上手」
ジャズが跡を撫でる。
「ジャズ?」
「…お揃い」
えへへ、と嬉しそうに笑うジャズ。
すると突然、ジャズの視界が回る。
気づけば兄は自分の上。
「えっ!?」
「そうだな、同じ赤。俺たちの目も、爪もそうだ」
するりとジャズの頬と手を撫でる。
「んっ…」
「変わることのない、俺たちだけの赤」
ジャズを見るロックの目は、優さの中に溢れそうな欲を孕んでいた。
「ジャズ、愛してるよ」
その言葉にジャズは目を潤ませ嬉しそうにロックに抱きついた。
「俺も愛してる、ロック♡」
「なっ……お前ってやつは…どうなっても知らないからな?」
「大丈夫、休みだもん」
「言ったな?」
2人が起きたのは次の日の夕方だったそうな。