オメガバース・見習いシャンバギ 無理にオメガのうなじを噛むようなアルファは、よほど自信がないのだろうとシャンクスは思った。
「シャンクス、お前、まだまだガキだなー」
「ええっ、だって船長、わざわざ噛む必要ある? おれたち、ずっと一緒にいるのにさ!」
心外だと頬を膨らませて抗議をすると、ロジャーは「ほら。そういうとこだろ」と笑いながら、骨ばった分厚い手のひらで頭をぽんぽんと撫でてきた。
どこをどう考えても子ども扱いだ。納得がいかない。
「ひっでえよ、船長―……」
アルファがオメガのうなじを噛むと、番という特別な繋がりが生まれる。これは、世界の常識だ。まだ子どものシャンクスでもよく知っている。
でも、自分たちは理性のない動物じゃない。思考をもとに行動を選択できる人間だ。オメガから求められたわけでもないのにうなじを噛もうとするアルファは、相手のオメガを繋ぎ留めておく自信がないだけなのだ。本能で結ばれる関係に縋るしかないただの臆病者。絶対の自信があれば何をしなくたって平気でいられる。お互いが特別の存在なんだと、きちんと分かっていれば、それで十分。シャンクスの中では、きちんと筋が通っている。
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