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    えりんぎ

    漫画まとめ。
    続きが描きたくなったときに追加していきます。
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    えりんぎ

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    2023/11/04 櫂受祭にてネップリ配布した折り本の中身。
    全年齢三和櫂。

    ##三和櫂

    変わらない君へ「アイツ、変わったよな」
    放課後にひそひそとクラスメイトの声が聞こえる。
    俺に聞こえるって事は本人…窓際で空ばかり眺めている櫂にも聞こえているだろう。
    アイツ等は小学校で俺もクラスが一緒だったから知っているが、今日までどれほど櫂に話しかけたかは知らない。少なくとも俺は高校入学で櫂を見かけた日から今日までの毎日、休み時間と放課後の度に話しかけているけれど一向にレスポンスが無い。変わった…と言われても致し方ないのかもしれない。
    「櫂!」
    そんな奴らを尻目に、俺は今日も相変わらず話しかける。
    「な、今日一緒に帰らねぇ?」
     ヘラッと笑うと櫂の眉間に皺が寄った。やっぱりさっきの話し声は聞こえていたらしい。いつもよりも機嫌が悪そうだ。こりゃぁ今日も一緒に帰るのは無理か。
    「俺に関わるなと言っただろう」
     お。かなり機嫌が悪いみたいだ。櫂は鞄を置いて席を離れようとする。普通ならもう帰ると思うんだが… 
    「あれ?帰らねぇの?」
    「今日は担任に呼ばれている。残念だったな」
     ハッキリ断れる理由があるからか、珍しく櫂からのレスポンスがあった。
    「そっか。んじゃぁ終わるまで待ってるな~」
    まぁ、だからといって俺が黙って帰るわけがないんですが。

     俺は黙って櫂の席に座る。担任に呼び出されるのは家庭環境が複雑だからか?
    …なんていらぬ詮索はしない方が良いだろう。クラスメイトは櫂が変わったと言うけれど、俺にとっての櫂という存在は…何も変わらないのだから。


    「おい。俺の席で寝るな」
    「…あれ?もう終わったのか?」
     どうやら寝てしまっていたらしい。教室の壁の時計を見ると、一時間くらい経っている。教室に残っていた生徒も全員帰ったらしく俺達の他に誰も居ないようだ。
    「んじゃ、帰ろうぜ?」
     性懲りもなく俺は言う。
    「お前…いい加減諦めろ」
    「いやいや、俺は諦める気ないんで、櫂が折れてくれよ」
     櫂は深い溜め息を吐いた。しつこくて悪いと思ってはいるんだけど、こればかりはどうしても引けない。俺はただ、また昔みたいに一緒につるんでいたいだけなんだ。
    それにしても今日は機嫌が悪かったはずなのにいつもよりも話してくれる。気が変わるような事があったのだろうか?
    ……そういえば、いつもは誰かが近くに居たが二人きりで話したのは初めてかもしれない。
    「関わるなと言っただろう…」
     半ば諦め気味な声は俺に押せばいけると思わせるに十分だった。
    「俺はまた櫂と遊びてーなーって思ってるんだけど」
    「俺と居ても面白く無いぞ」
    「楽しいか楽しくないかは俺が決める事だろ~?」
     まぁ、櫂が俺と一緒に居て楽しくないと言えばそれまでなんだが。優しい櫂は多分それを言わない。
    「……勝手にしろ」
     ほら、やっぱり櫂は昔と何も変わっていない。
    「やっぱ櫂は昔と変わらず優しいな」
    「………変わった…だろう。アイツ等もそう言っていた」
     さっきのクラスメイトの事だろう。確かに気分の悪くなる言葉だが、櫂は思ったよりも気にしているようだ。
    「そりゃぁ環境が変われば変わるさ」
     別に変わることが悪い事じゃない。ただ、この数年間でアイツ等にとっての櫂という存在が変わっただけなんだ。
    「俺にとっての櫂は、何も変わらねぇよ」
     あの時から俺の想いは何一つ変わっていない。多分これは恋心とか言うやつに近いんだろうけど、それを言ったら俺達の関係が終わるような気がして俺は口を噤んだ。
    「……そう、か…」
     苦しそうな顔をする櫂は、まるで「変わる」事を恐れている様に見えた。いや、もしかしたら櫂の周りの誰かが変わってしまったのかもしれない。
    「んな事よりさ~…帰りにコンビニ寄らねぇ?俺腹減っちまってよぉ…」
     多分今は何も話してくれないだろう。俺は話を変える様に帰路を促す。
    「お前は…何も変わらないな」
     フッと安堵の笑みがこぼれるのを俺は見逃さなかった。多分、今俺は櫂の内側へ入れたんだろう。
    「櫂は腹減らねぇの?コンビニ行きたくねぇ?」
    「三和のおごりならな」
    数年ぶりに肩を並べて俺の名を呼ぶ友の声が心地良い。

    今はまだ櫂が何を恐れているのかわからないが、俺は…俺だけは何があっても変わらずに側に居ようと心に誓った。






    END
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