変わらない君へ「アイツ、変わったよな」
放課後にひそひそとクラスメイトの声が聞こえる。
俺に聞こえるって事は本人…窓際で空ばかり眺めている櫂にも聞こえているだろう。
アイツ等は小学校で俺もクラスが一緒だったから知っているが、今日までどれほど櫂に話しかけたかは知らない。少なくとも俺は高校入学で櫂を見かけた日から今日までの毎日、休み時間と放課後の度に話しかけているけれど一向にレスポンスが無い。変わった…と言われても致し方ないのかもしれない。
「櫂!」
そんな奴らを尻目に、俺は今日も相変わらず話しかける。
「な、今日一緒に帰らねぇ?」
ヘラッと笑うと櫂の眉間に皺が寄った。やっぱりさっきの話し声は聞こえていたらしい。いつもよりも機嫌が悪そうだ。こりゃぁ今日も一緒に帰るのは無理か。
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