空から舞い散る白い羽【後編】兵長が見えなくなるまで見送った後、いつものようにあの丘の木へと向かった。
思いが通じたのか、到着してすぐに鳥になったエレンが飛んで逢いに来てくれた。
「よかった。あなたはもう来ないんじゃないかって少し不安だったの。だってエレンが私に幸せになってほしい、なんて言うから」
木の枝にとまった鳥のエレンは、クゥークゥーと鳴きながら私をチラチラ見ている。持ってきたパンを細かくちぎって与えると喜んで食べてくれた。
「エレンは勘違いしている。私はこのままでも幸せなのに……。あなたとの思い出の詰まったこの景色を見るのが好きだ。泣いていたから心配したの?だから兵長を呼んで会わせてくれたんでしょう。彼も今、違う大陸で復興活動に積極的に関わり励んでいるみたい。付いていくつもりはなかった。私は独りで大丈夫。このままでいいの」
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