「………!」
目が覚めて驚愕した。ルカは、大声を出しそうだったのをギリギリのところで引っ込めた。
部屋に誰か入ってきて気づかないなんてことはないと思う。けれど、彼を部屋に迎え入れた記憶はない。ならばどうやってシュウはルカの腕の中に潜り込めたのか。
考えてみても、シュウだったから、という理由しかルカには思いつかなかった。マフィアのボスなんて仰々しい肩書きを背負ってはいるが、恋人相手には形無しだったようだ。
しかしルカに落ち込む様子はない。すっかり気を抜いて寝こけているシュウを見つめて、むしろにんまりと笑みを深めた。
「ぽぐ、ぽーぐ…」
極力小声で、ルカはシュウの頭上で話しかける。まだ寝ているかの確認だ。シュウは身じろぎすらせず、ルカの胸元にぴったりとくっついた体制のままだった。
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