ぽーたらない ふと目が覚めると、見慣れない小部屋だった。コンクリート打ちっぱなしの壁、無機質でむき出しの監視カメラ、頭上にはガラス張りの窓があって向こう側はスタッフルームのようだ。……どう見ても昨日 Ai が見ていた実況動画でプレイされていたゲームだ。キューブやスイッチの代わりに見慣れたデュエルフィールドが設置されている。詰めデュエルでもやらされるんだろうか。
状況を確認していると、頭上から Ai の声が降ってきた。
「今から遊作ちゃんにはテストを受けてもらいまーす。全部解けたらご褒美にケーキがあるぜ☆」
一気に脱力する。どんな変なデータを食べたらあのゲームでごっこ遊びをしようという気持ちになるんだ。パズルはともかく、ストーリーは酷いものだったじゃないか。
「……どこのケーキだ」
「えっ」
「どこの店のケーキだ。お前の手作りか?」
「えっ、えっ」
やはり嘘か。
「俺がテストを全部終えるまでに用意しておけよ」
「えっ、ぅぇえ、ろ、ロボッピ! 今から作って間に合うケーキある!?」
「想定プレイ時間何分です!?」
「二十分!」
「あるわけないです!」
監視カメラの向こうで起きる騒ぎをよそに、俺はデュエルフィールドへ向かう。
こんなことを言ってはみたが、ケーキは嘘でも構わなかった。ログアウトして目が覚めた時、二人がそこにいてくれるなら。