私には弟と妹が11人いた。正確には妹が3人、腹違いの弟と妹が8人だ。いわゆる妾の子というヤツである。
我が家は、時代が時代であればこの地を納める武士の家柄であった。廃藩置県後、無駄に土地だけを持て余した唯の一般人になったが、幸いにも先代が優秀な人で、土地と人脈を活かした産業に目を付け、今も代々残る立地な屋敷と土地と資金を有した名家のままであった。
その事を鼻にかけていた親父はそれはそれは酷い女遊びをしては余所で子を作っていたロクデナシだった。
「俺は武家の出なんだ。時代が時代なら側室を迎えて妻が何人いても良かったんだ。」
これが親父の言い分である。そう、時代が時代ならば良いだろう。しかし、今は大正。しかも武士としての権限は剥奪されているし、なんなら親父は刀を握った事すらない。
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