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    クロネコ

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    クロネコ

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    ⬜先輩が🐱を看病する話

    #ハドモド学園
    hadmodAcademy

    看病「なぁ、さっき近くの教室うるさくなかったか?」
    「え?そう?俺寝てたからわかんないや…あいてっ」
    「結寝るな。莉空達は知らないか?」
    「俺も分からないんだけど、ザワついてたよな〜」

    よく一緒にいる3年メンバーが今日の出来事を話していたその時、他の同級生の会話が聞こえた。

    「さっきさ、近くの教室ザワついてたじゃん。あれ生徒が1人倒れたらしいぞ」
    「え!?大丈夫なの!?」
    「知り合いの後輩から聞いたんだけど意識朦朧してたって」
    「どんな奴?」
    「えっとその後輩の同級生、2年だな。いつもマスクつけてる…確か…猫宮?って言ってな」







    「………39.7度…全然下がらない…」
    やってしまった。ここ最近バイトが立て込んだのも理由の1つだけど、この寒い季節、インフルエンザや例の感染症ではないとはいえ体調を崩してしまった。そして立て込んだことで深夜に課題なんかもして…免疫力が余計下がってたのかもしれない。
    …兎に角心当たりがありすぎる…
    「流石に…学校の後も入れて続けてやるのは…まずかったか…後勉強……はぁ…」
    その時、玄関音が鳴った。誰だろうと重い体を起こそうとしたら、玄関を開ける音、続いて慌ただしい足音。それはこっちに近付いてきて…

    「っ…!黒江!!」

    勢いよく開いたドアの外から現れたのは明らかに走ってきて汗だくの心夢先輩だ。髪も呼吸も乱れて手には何かが入ったビニール袋を持っている。
    「こ、む…先輩?」
    「突然倒れて早退したって聞いたんだ。意識朦朧って聞いた…大丈夫か!?」
    「先輩、大丈夫d」
    「辺りざわついてたの知ってたか?倒れた時頭ぶつけなかったか?…ん?」

    うるさい先輩を黙らせようと引っ掻く手を伸ばしたけど、ふにっと先輩の頬に触れるくらいで終わった。全然力が入らない…
    そんな手を先輩は自分の手に包むように握った。しっとりとしてる。
    「…大丈夫、です。俺の体調管理が良くなかったのが…原因ですので…」
    「この季節は体調崩しやすいからな…すごい汗だな」
    「起きたついでに体拭いてきます…」
    「待て、俺がやるから、な?」
    「……よろしくお願いします…」
    そう言うと心夢先輩は直ぐに体拭きの準備を始めた。そして体をお湯で洗ったタオルで拭かれていく。汗をぬぐえて…
    「気持ちいいです…」
    「すごい汗かいてたもんな。着替えもしような」
    「それなら、そこのタンスにありますので…」
    「分かった」
    「…先輩も汗だくですよ。お風呂はシャワーで良ければ使って下さい」
    「ありがとう。お前のが終わったら借りるよ」
    背中から先輩の優しい声が聞こえてこれがとても心地良い。

    その後は先輩はシャワーを浴びに、そしてご飯を作ってくると部屋を後にした。持ってきたビニール袋の中身はその材料ということ。
    新しく着替えさせてもらい、布団の中で目を閉じていると、俺のじゃない他の誰かの生活の音が聞こえてくる。これが…当たり前なんだよな…



    「黒江」
    先輩の声が聞こえ目を覚ます。時計を見たらもう夕方だ。
    「お前が寝てる間体温測ったが…だいぶ高いな。食べられそうか?」
    「なんとか…」
    「食べやすいように卵がゆにしたんだ」
    そう言って台に置かれた小さい土鍋の蓋を開けると綺麗な黄色と白の卵がゆ。
    「いただきます……アチッ」
    「そういやお前猫舌だったな」
    「…食べられます」
    「無理すんなって。レンゲくれ。食わしてやるから」
    そう言ってあまり力が入ってなかった俺の手からレンゲを取り息を吹きかけ冷ましてくれた。
    「ほら。これで食えるぞ」
    「……」
    「もう熱くないって」
    そういうことじゃないんですが…というとこっちまで恥ずかしくなるのでそのまま食べさせてもらった。……丁度いい柔らかさと卵…
    「…美味しいです」
    「良かった。ほら、口開けろー」
    「うっ…あー…」
    美味しい…先輩料理上手いから本当に美味しいんだけど…恥ずかしくてこれでまた熱が上がりそうだ。

    「平らげたなぁ」
    「…ご馳走様でした」
    「お粗末さまでした。そうだ、俺学校に頼んで明日休ませてもらうことにした」
    「…え、そんな。悪いですよ…バイトもあるし」
    「バイトは事情言って休ませてもらっから大丈夫だ」
    頭を撫でて笑う先輩。昔を思い出す。両親は忙しくても俺の事気にかけてくれた。今は1人暮らしで慣れてるもんだと思ったが…
    「…先輩、全力で走ってきたんですよね。体力ないのに」
    「そりゃあ黒江が倒れたって聞いたからな」
    「途中で転びましたね…?腕の擦り傷」
    「こんなもんなんともねぇよ」

    「…心夢先輩、ありがとうございます」
    「え、あ、そんな優しい笑顔出来たんだな。どういたしまして…」
    この時凄く素直になれた気がする。そんな俺の顔を見て、先輩は顔を赤くしていた



    次の日、先輩の看病のおかげでみるみる体温も下がっていった。
    「36.9度…下がったな」
    「先輩のお陰です、ありがとうございました」
    「良かったよ。俺は夕方には帰ろうと思うから。明日学校で会おうな」
    「あ…心夢先輩」
    離れていく先輩の手を取った。ここでまた1人になるのは…嫌だ。
    「先輩、今日泊まって下さい。今は先輩と…離れたくない、です…」
    俺らしくない言葉だけど、心夢先輩は照れて、嬉しそうに頷いた。

    後日、先輩のお陰です無事登校できたが今度は先輩が熱出したことは言うまでもない
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