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    shigure_0855

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    shigure_0855

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    学パロ、オメガバース
    次がたぶん、r-18展開なる予定。ちょっと展開早めかも

    αの零夜とαと偽ってるΩのマルコスが番になるまでの話(運命の番という設定)

    長い廊下、まだ一度しか来たことのない其処を目的地へと向かう。窓から外の景色を眺めれば、登校中の生徒がちらほら。

    親の都合で、この春から独り暮らしを始めることになったマルコスは、今日から始まる2年生を新たな学園で過ごすこととなった。曰く、転校生ということになるが、2年生であるということは、グループがもう殆ど確定しているだろうと易々想像がつく。

    「失礼します。んと…今日からお世話になるマルコスです」

    一度見学にきて見覚えのある扉、確認するようにその上の室名札を見れば"職員室"の文字。迷うことなく無事に此処まで来れたことに少し安堵しつつ、こん、と3回軽くノックしては扉を開け中へ入った。

    担任と思われる先生が、待っていたよ、と快く出迎えてくれては、そのままHMが始まろうとしている教室へと案内されるのだった。




    「マルコスだよ~ 第二の性はα、好きなものは魔法少女リリカちゃん。嫌いなものは特になぁし!皆、宜しくねぇ」

    担任に促され、皆の前に立ち軽く自己紹介を済ます。本来のマルコスの性はαではなく、βであった。しかし、ハイスペックを持ち合せているせいか、αと偽っていても周りは納得せざる終えなかった。疑う人なんていもしないだろう。故に本当のことを知っているのは家族と特別仲の良い友達くらいだ。

    「えーっと、お前の席は彼処な。零夜の隣だ」

    皆仲良くするように、なんていう教師の社交辞令のような言葉を耳に、教えてもらった自分の席へと移動する。

    一番後ろの窓際から二番目。窓の外を見れる席は個人的に有り難かった。取り敢えず隣の子に声掛けとこうかな、と思考しては、どんな子だろうかと視線をやる。

    濡羽色の髪、陶器のように白い肌、タートルネックのインナーにカッターシャツ、それから裏地がライムグリーンの黒いパーカー。生憎、寝ているのか顔は机に伏していて、よく分からない。流石に起こすのも悪いか、と感じたマルコスは、また後で声を掛けることに決めた。




    「αってことは、マルコスくんって、勉強できるの?」
    「ね、今度勉強教えてー!」
    「前の学校ってどんなところだったの?」

    1限、2限となんの問題もなく授業が終わり、休憩時間には興味津々な同級生に質問攻めにあう。そんなこんなで3限も終わり、休憩時間に入ればトイレへと直行する。

    …でだ。トイレから戻ってくれば、次は移動教室だったようで、教室はすっかりもぬけの殻であった。いや、正確には一人だけ残っていた。マルコスの隣に座っていたあの子が。すぅ、すぅと寝息が聞こえてくるのをみるに、どうやら、未だ寝ているようであった。

    「ねぇ、ちょっと、キミ?次、移動教室だよ?起きなくていいのー?」

    聞かないことには場所も分からない移動教室。頼れるのは、彼一人だと判断しては、ゆさゆさと肩を揺すって起こす。数回揺すっても起きる気配はない。

    「起きなくてもいいからさ、せめて場所教えてくれないかなぁ、この憐れな転校生にさ?」

    めげずに何度か揺すっていれば、うーん、と眠そうな唸り声とともに此方側に顔が向けられる。右目には眼帯、ぱち、と開けられた瞳は綺麗なライムグリーンで。
    見て分かる綺麗な顔立ちに、きっと彼はαなのだろうなと本能で感じとれる。

    「んーと、おはよ?」

    何を言うべきかも分からず、取り敢えずと起きたばかりの彼に挨拶をしてみる。

    「嗚呼、お早う。…見たことのない顔だね」
    「転校生だからねー」
    「そう、君が…此れから宜しく頼むよ」

    この様子からみるに、転校生の存在は予め教えられていたみたいだ。

    「はぁい、宜しくねー…じゃなくて、次、何処か知らない?授業始まっちゃうじゃん。えっと…」
    「零夜だ」
    「零夜くん」

    時計を見れば授業開始まであと4、5分といったところであった。

    「体育だから、体育館じゃないかい?1限の始業式が其処だっただろう?つまり、君がもう既に知ってる場所だ」
    「あ……」

    急いでいたあまり、次の授業すら把握していなかった。

    「あはは、だねぇ。キミはいかないの?」

    恥ずかしさ紛らわすように別の話題をふる。

    「嗚呼、僕は此処でサボるつもりだよ。動くのはあまり得意じゃないんだ」
    「んじゃ、僕も此処にいようかなぁ」

    運動は得意なのだが、汗をかくのが嫌だなと感じれば、一緒にサボろうかなと考える。隣人と仲を深める時間が少しくらいあっても別にいいはずだ。

    「…好きにしたらいいよ。サボるなら、話相手くらいにはなってあげるから」
    「やった、いいの~ じゃあさ、リリカちゃんについて布教させてさせてー」

    そこから、授業が終わるまでの約一時間、マルコスは推しの良さを布教すべく、一方的に語った。マルコスの話に、零夜は時折相槌を返す。

    そうしていれば、時間はあっという間に過ぎ、終わりを告げるチャイムが聞こえたかと思えば、体育が終わった生徒が帰ってきて、皆口々にマルコスくん、ごめんね…なんて謝罪の詞を送るのだった。
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