動き出す運命 所属したアイドルグループのレッスンは本格的だった。歌もダンスも専任の講師がついて、基礎からみっちりと教えられた。さすが業界ナンバーワンの事務所やわ、と感嘆する一方で適度にサボることも抜かりないヴァンは、休憩時間も隙あらばトレーニングをしている大和のことを初め訝しく思っていた。聞けば、トレーニングは趣味の一つだという。好きならば、どうぞ自由にやってくれとヴァンは干渉しなかった。
そんなある日、ヴァンは時間を持て余していた。この後ダンスのレッスンなのだが、かなり早くスタジオに着いてしまったのだ。とはいえ、どこかに時間を潰しに行くのも面倒で、たまにはレッスンに一番乗りしてやろうと、着替えを済ませてスタジオに向かった。
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