視線 不意打ち 茹だるような暑さの中、二学年上の先輩と出向いた任務で負傷した。
広範囲に攻撃を仕掛けてくるタイプの呪霊で、避けるタイミングを見誤って真っ向から攻撃を受けてしまった。
肋骨の骨折と、脛の深い切傷は反転術式による治療を受けた。腕と顔にできた擦り傷には、保健師がガーゼを貼ってくれた。
自室に戻って洗面でふと鏡に映った顔を見ると、ガーゼを貼り付けている顔がとても間抜けに見えた。
まるでこのガーゼが、不甲斐ない自分とこんな擦り傷など作らない先輩達との力量差を表しているかのようで、気が滅入った。
今日は、夕方から一つ上の先輩達と一緒に近所に花火を見に出かける予定だった。灰原が部屋まで迎えに来てくれたがとてもそんな気分にはなれず、怪我を理由に断って、謝りながら送り出した。
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