その疑惑に王は雪解けの道を駆ける ――新しい家族が増えました。君も会いに来てね。
そんな一文で締めくくられた手紙がディミトリのもとに届いたのは、ようやくフェルディア周辺の雪が緩み始めた頃だった。
厳冬期のファーガスは、人もものも行き来が難しくなる。伝書ふくろうの翼に雪は関係ないが、吹雪になれば空さえ往くのは困難だ。必然、人々は家にこもり町や村は雪に閉ざされてしまう。それは王都フェルディアも同様で、なかなか伝書ふくろうも飛ばせない中、国王ディミトリはガルグ=マクで過ごす妻ベレスを恋しく思いながら雪が緩むのを待ち続けていた。
そうしてようやく吹雪が止み、空が冴えた青色から柔らかな春の色に変わるのを実感出来た頃。春の訪れを継げるようにガルグ=マクからやってきたふくろうがベレスからの手紙を届けてきた。
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