文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day20 美しく染め抜いた青に白い山が聳えていた。まるで、この間のかき氷みたいだ。汐見は取り留めもなくそんな事を考える。
「おぉい、汐見。何ぼんやりしてんだ、行くぞ」
普段はジャージで通している汐見も、今日は青色のフライトスーツを纏っている。それはかつて宇宙に行ける人間が限られていた頃、宇宙飛行士のシンボルのようにされていたそれで。人々が気負いなく宇宙に行けるようになった今、そのシンボルは国際航空宇宙学院のパイロットコースに所属する生徒のユニフォームとなっていた。濃紺のフライトスーツを纏う吉嗣の声に空へと向けていた視線を戻し頷く。
「わかってますよ、センセ。ちょっと感傷に浸っても良いじゃないすか」
「感傷に浸るにはまだ若い。もうちょっとシャキッとしろよな」
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