冬とアイスとますかいそれはベランダでタバコを吸っているときのことだった。(カイトにタバコは外で吸えと追い出された。家主なのに)
冬の冷たい空気、濁った曇天の中ちらちらと白いものがゆっくりと落ちていく。屋根の外へと手を伸ばすとそれは冷たさを伴い瞬間で溶けた。
「雪か…」
もうそんな季節か…と思いを馳せらせながら煙を吐き出す。息の白さも相まって一段と濃く空気に溶けた。
「そりゃあ、寒いはずだよなぁ」
【寒い】と認識してしまえば、もうダメで体中が底冷えてきたような気がしてブルリと身体が震える。
さっさと暖房の効いた部屋に戻ろうと携帯灰皿に吸い殻を押し入れて窓をカラリと開けた。
「ますた。寒いから早く閉めてください」
そしてそんな俺に呼びかける声。
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