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    sawayan_E

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    sawayan_E

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    出してない小説出てきたので供養
    ※女体化

    爽やかな風が吹き、快適な暖かさ。
    穏やかであり、なんとも眠くなる日だ。
    頭の隅で類がそう思いながら、機械を弄っていると、ふぁあとあくびが出る。

    (…少しだけ、寝ようかな)

    機械の作業の方も、一区切りできたために類は自身の隣にある大きなバックに機械をしまうと、ゆっくり目を瞑った。

    (それにしても、本当に…穏やかな日だ…)

    暖かい日差しの中、ぽかぽかと温められる体は、意識を眠りに誘うには十分すぎるものだ。
    類は数分もしないうちに眠りにつき、屋上には静寂が漂う。



    「類〜?類、おきて〜るい〜」
    「…ん?」

    誰かが類を起こそうとゆさゆさ揺らしながら声をかけている。
    微睡む意識の中で薄ぼんやりとしながら目を開けると、そこには風にゆらゆらと揺れる薄ピンクの髪が見えた。

    「あ、起きた?おはよう、類」
    「……瑞希?」
    「そーだよ。まったく、もう学校終わるよ」

    瑞希のその言葉に、空を見てみると茜色に染まっているのが見え、随分と長いこと眠っていたのだと理解できる。
    まだぼんやりする頭を抱えながら、のそっと起き上がると、少しふらついた。
    瑞希が慌てて抱き止めてくれ、類はごめんね〜とのんびりした口調でそのまま寄りかかっていると、瑞希から文句が飛んでくる。

    「ちょっと〜いつまで寄りかかってるのさ〜」
    「ふふっ、いいじゃないか」
    「も〜自分の体の大きさと胸の大きさ自覚してよ〜」

    くすくすと笑いながら、類がそっと離れる。
    類は女子にしては175と高身長であり、胸も大きくスタイルもいい。
    男子たちが放っておくはずもない顔とスタイルの良さではあるが、変人ワンツーのツーの方と認識されており、関わろうとしてくる男子はいない。
    そのために屋上で1人眠っているなんて油断しかない行動ができるのだ。
    しかし本人は気にしていなくとも周りが気にしていることがある。

    「ね、類」
    「?なんだい、瑞希」
    「司先輩が、頼むから学校で寝るなってさ」
    「?…どうして瑞希に?」
    「さあー?少し悪戯しちゃって、顔合わせにくくなっちゃったんじゃな〜い?」
    「???」

    意味がわからず首を傾げる類に、瑞希はにやにやと笑うだけだ。
    何か知っているなら教えてくれればいいのに、と思っているとぽこんと、ケータイが通知を知らせた。
    そこには寧々からのメッセージで、“いまどこ?”と簡潔に書かれていた。
    瑞希に一言断ると、屋上にいることを伝えた。
    するとすぐに返事がきて、“ワンダーステージきて”と送られてきた。

    「?どうしたんだろう」
    「さぁ?とりあえず急いで行ってあげたら?」
    「…そうだね。ではまた、瑞希。また今度屋上でお昼ご飯でも食べよう」
    「はいは〜い!いってらっしゃい」

    そう言って類は屋上を後にした。



    「…これは、どうしたことかな」

    ワンダーステージに着いた類が始めに発した言葉はそれである。
    その顔には苦笑いを浮かべており、目線はステージ上だ。
    そこには反省中の文字を首から下げている司が正座をしており、寧々たちは客席の方から腕組みをしながらそれをじっと見ていた。

    「あ、類きた」
    「やぁ、寧々。どうしたんだい、これは」

    少し呆れた表情をしていた寧々に事情を聞くと、大きくため息をつきながら教えてくれた。

    「俺はなんてダメなやつなんだ〜ってすごく叫んでうるさかったからああした」
    「うん。なにひとつ状況が掴めないね」

    状況が掴めないまま、とりあえず司の近くに行くと申し訳なさそうに下を向いたまま動かない。
    そんな様子がおかしくてくすりと笑った後、司と目線を合わせるためにしゃがみ込んだ。

    「つーかさくん」
    「……すまん」
    「その謝罪は、君が僕にいたずらしたからなのかな?」
    「!!??おきっ」

    バッと驚いたように司が顔を上げると、思った以上に近くに類がいてそれにまた驚き後ろに倒れ込む。
    側から見たらただのコントだ。

    「っぐ!!」
    「っふ、あはは!何愉快なことしているんだい、司くん」

    笑いが堪えきれない、と言った様子でぷるぷると震えながら司を起き上がらせると、司の顔を覗き込んだ。
    顔の近さに司は顔を赤くしていると、類がにっこり微笑む。

    「それで?君はどんないたずらをしたのかな」
    「」
    「実は瑞希から君がいたずらしたと聞いてね。僕は君が何をしたのかは知らないんだ」

    そういうと司は安心したような、でもよかったのだろうか、と何とも複雑な気分になってくる。
    司はそっぽを向くと、ごも、ごもとなにかを話そうとしているが、言葉として耳に入ってこない。
    どうしたものかと類が悩んでいると、ピロリンとメッセージの通知が鳴りスマホを見てみると瑞希からであった。
    内容をまたみれば、“司センパイ話せた?”と何ともいいタイミングできてくれる。
    “まだ聞いてないよ、まごまごしているからね”
    “あ、やっぱり?司センパイに早く言わないと僕が言っちゃうからねっていってみて”
    類は言われたとおりそのまま司に話すと、見てわかるくらいピシッと固まり動かなくなる。そして急に立ち上がると、類の手を引っ張りステージ裏まで連れていく。
    突然の行動に驚いていると、司が類に向かって頭を下げたのだ。
    これには類も驚くしかなく、慌てて司を止めようとする。

    「すまん!!!!」
    「き、急にどうしたんだい?本当に」
    「…その、お前が寝ている時に…」

    司は顔を真っ赤にしながら、類の手をぎゅっと握ったままぽそりと話す。

    「……キス、を、してしまって…」
    「………………へ?」

    予想外の言葉に類は言葉を無くす。

    (司くんが、僕に……?)

    そんなことあり得るのか、なんて思ってしまう。
    しかし、目の前で恥ずかしそうにしている司の姿を見ると、嘘をついているようには見えない。

    「…物好きだね?」
    「はっ…?」

    混乱のあまりに出てきた言葉は類にとって純粋な疑問だった。
    たしかに自分は女であるし、ショーのために整えてるために、スタイルがいい自覚もある。
    けれど、司は類の被害者と言っても過言ではない扱いを受けているし、ショー仲間としての印象が大きく、恋愛対象になるとは微塵も思っていなかった。

    「…類は綺麗だ」
    「へ、?」

    少し拗ねたような顔をして、司はじっと類を見つめる。
    その顔は真剣で、類は思わず口を閉じてしまう。

    「美人で、優しくて、いつもみんなのことを気にかけてくれている」
    「う、うん???」
    「ショーのことを話している時の姿はすごく可愛らしいと思うし、実現させようとする熱量も俺は素晴らしいと思う」
    「ちょ、ま、まって!」
    「むぐっ」

    唐突な誉め殺しをしてこようとしている司の口を慌てて閉じさせる。
    ムッとした表情のまま、じっと類を見つめている視線から逃げるように、類は体を縮こませて、恥ずかしそうに視線を外した。
    司は類の手を外して、まっすぐな声で言う。

    「物好きではない。類は素敵な人だ」
    「わかっ、わかったから…やめて…」

    恥ずかしすぎて爆発してしまいそうだ。顔が熱く、もうまともに頭も働く気がしない。
    そんな様子の類に満足したように微笑みながら、司は類に近づいていく。
    それに合わせて類が後ずさっていくと、壁まで追い詰められてしまった。
    逃げ場のない状況にさらにパニックになっていると、司が類の顔の横にドン、と手を置く。

    「……キス、してもいいか」
    「……………」

    低く響く声でそう囁かれる。
    正直、類はこの司の声が苦手だ。なにも考えられなくなって、是としか言えなくなるからだ。
    それが自分が司に惚れきっているから、ということを表しているのにまだ気付いていない。

    「…い、いよ」

    類のその言葉を聞いて、司はちゅっと類にキスをする。
    少しだけ長い、触れるだけのキス。
    もうそれだけで心臓が爆発してしまいそうなほどうるさくなる。
    ゆっくりと離れると、お互いに顔が赤いことに気付く。
    司は何か言いたげにしていたが、何も言わずにただ黙って類を抱き締めた。
    それに類は何も言わず、大人しく司の腕の中に収まる。
    すると、類が口を開いた。

    「…君、意外と自分勝手だよね」
    「む。ちゃんと許可はとっただろう」
    「NOなんて、言わせる気ないくせに…」

    はぁ、とため息をつく。
    その言葉に司は頭にはてなを浮かべた。NOと言われればもちろんしないつもりであったし、無理矢理なんて司の一番嫌いな事だ。
    その事を伝えれば、今度は類が不思議そうな顔を浮かべる。

    「だって君、あの声で…」
    「声?」

    司がそういうと類はハッとしたような顔を浮かべて、恥ずかしそうにそっぽを向くとなんでもないといってぐいぐいと司を押した。

    「な、なんなんだ」
    「いいからっ、忘れてっ!」

    恥ずかしさMAXと言わんばかりに顔を赤らめ、ぐいぐいとこちらを押してくる類に司は悪いと思いつつも、可愛らしくて悶えていた。
    女子にしては力は強い方だろうが、男の司を押し退けるには少し足りない。
    そのうち諦めたのか、ポスリと司の方に寄りかかると、そのままうずくまる。

    「あぁ、もう。こんな事気付きたくなかった…!」
    「……かわいい」
    「やめてっ」

    顔を両手で覆いながら恥ずかしがっている類に本音が
    こぼれると、バシッと叩かれた。

    「結局、俺の声がなんなんだ」
    「………やだ、教えてあげない」
    「なぬっなぜだ」
    「…君はもう少し乙女心を勉強すべきだね」
    「むぅ……」

    納得いかないという表情を隠さない司に苦笑する。

    (あんな声で囁かれて、否定なんてできるわけがないじゃないか……)

    耳元で響いた司の声を思い出して、また顔が熱くなった。

    「はぁ…」
    「?」

    顔を上げた類が司を見上げる。その瞳はまだ少し潤んでいて、顔も赤いままだ。

    「僕の負けだよ…」
    「な、なんだなんだ」

    司は困惑しながらも嬉しそうに笑う。そして、類の頬に手を当てると、愛おしそうな表情で見つめてきた。
    その表情にドキリと胸が鳴る。

    (本当に、ずるい…)

    そんな表情をされたら、何も言えなくなってしまう。

    「司くんは…僕で後悔しない?」

    類の答えを聞くと、司はふわりと微笑んだ。

    「後悔などするはするはずないだろう」

    それにつられて類も笑顔になる。
    司はその表情を見て、もう一度類にキスをした。
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