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    JhonJhon0816

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    JhonJhon0816

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    学パロホー炎。(できてる)モブが出張ってます。
    夜寮の談話室で学校の七不思議を語るモブと啓悟、プラスえんじの話。(怖くない怖くない)

    学校怪談「ひええええっ、怖ぇーーーーっ‼︎」
    「止めろよ!もう一人で体育館の用具倉庫行けねぇよぉ〜〜〜っ‼︎」
    「これで四つ、だな」
    ひそめながらも、ぎゃあぎゃあと談話室から響く声に、鷹見啓悟は辟易しながら部屋のドアをそっと開けた。啓悟の部屋は談話室から一番近い。消灯後も談話室で騒いでいるクラスメイトがいると、防音設備の整った名門・雄英の寮とはいえどうしても音が気になる。啓悟の個性の特性とも酷く相性が悪かった。
    「お、鷹見。お前も入る?」
    啓悟の姿を見つけたクラスメイトの一人が、ひょい、と手を上げる。
    「入る?じゃないよ。もう消灯時間とっくに過ぎてんだろ?何してんだよ。うるさくて眠れないんだけど」
    ノイズキャンセリング機能付の最新型ヘッドホンを外しながら啓悟は答えた。耳は塞げても、『剛翼』が感知する振動を完全に遮断することは難しい。ある意味、啓悟の弱点とも言える。談話室のソファに浮かぶいくつかの光が彼らの顔をぼんやりと照らしていた。
    大勢のクラスメイトと一緒に過ごす寮は、これまで啓悟が生活していた公安の環境とは真逆であり、慣れなければならないがこればっかりはまだダメだな、と啓悟はため息を吐いた。

    「で?何してんの?どーせお前らのことだから猥談?」
    ドカッと啓悟はわざとソファを揺らして座った。
    「違ぇよ、猥談、じゃなくてカイダン」
    「カイダン?」
    「学校の怪談だよ、雄英にもあるんだよ、それぞれが知ってるヤツの情報交換!七つ知ると……」
    クラスメイトがおどろおどろしい声を出すものだから、啓悟はわざと大きなため息を吐いてみせた。
    「はー?学校の怪談って……お前ら小学生かよ。余裕だねぇ」
    もうすぐ試験だってのに。そう言って笑うと、ちょっとした息抜きも必要だろ!とクラスメイトが反論する。
    「で?次は?学校の怪談とやら」
    啓悟はほらほら、と急かした。
    「次は俺な……音楽室にピアノあるだろ……あのピアノの鍵盤がさ、全部黒く変わることがあるんだって……なんか昔、音楽室で自殺した女生徒が……って噂あって。ていうか俺、真っ黒になった鍵盤、実際に見ちまったんだよ、先生から他言するなって言われてたんだけど……」
    「言ってんじゃん」
    「俺だけ知ってんの怖ぇじゃん!共有しようぜ!」
    啓悟〜まじ怖ぇんだって〜!としがみついてくるクラスメイトをはいはい、と啓悟は軽くいなした。
    「俺の話は終わり!次!」
    クラスメイトが一つ、ペンライトを消す。百物語の蝋燭の代わりだろうか、と啓悟は少しだけ暗くなったテーブルを見つめた。
    「次は俺!六個目な!これはマジで怖ぇ!放課後、中庭の奥の林に入ると、人が燃えてんだって……で、その燃えてる人に見つかると追いかけられて捕まったら最後、骨も残らず燃やされるって……」
    「それ、俺も先輩から聞いたことある……目が合って追いかけられたけど命からがら逃れたって……」
    また一つ、光が消える。クラスメイトの息遣いが聞こえる。
    残りは一つ。
    ブゥン、と自販機の音が酷く大きく響いた。
    「じゃあ、俺で最後な……この、談話室のでだけど……夜中の二時頃、男の苦しそうな呻き声と、それから鬼火が飛ぶのを見たっていう話なんだけど……これ、実はつい最近の俺の体験談……」
    かちり、とペンライトのスイッチが切られる。
    静寂。シンと静まり返って誰も喋らない。非常灯の、緑の光だけが煌々としている。百物語なら、このあとホンモノが現れるのだと言われているが。くだらない。さぁ、もう部屋に戻ろうと啓悟が口を開いた、その時だった。

    ポウ、と炎が揺らめいた。
    一つ、二つ、三つ。
    クラスメイトの引き攣った顔が、炎に照らされて浮かんだ。
    そして四つ目は、啓悟の隣に浮かぶ。
    これは、まさか。もしかして。

    パッと電気がついて当たりが一瞬で明るくなる。少し目が眩んだ。
    「お前ら何してる」
    そこに立っていたのは。
    「っ、なんだよ轟かよ〜〜〜」
    「マジ焦った〜〜〜」
    「いや怖ぇよ!普通に声かけろよ!」
    口々にクラスメイトが声を上げる。
    「鷹見、お前もか。消灯時間はとっくに過ぎている。早く部屋へ戻れ。次は無いぞ」
    はいはい、悪かったよ、おやすみ、と言いながらクラスメイトは足早に轟炎司の前を通り過ぎて行った。鷹見もゆっくりとソファから身を起こす。
    「轟くん、見回りおつかれさま」
    轟はその言葉に眉を顰める。
    「お前が言うのか……こんな時間に何してる」
    ふん、と轟が腕組みするのを鷹見は可笑しそう見つめる。
    「轟くんの話してるの、聞こえちゃったから、俺も仲間に入れて貰ってた」
    「俺の話だと?」
    「うん」
    くすくすと鷹見がまあ可笑そうに笑う。
    「こないだ轟くんがピアノ煤だらけにしちゃった話とか、コッソリ中庭の隅で炎の出力訓練一人でやってる話とか」
    「む……、見られていたのか……」
    バツが悪そうに頬を掻く仕草に、鷹見は目を細める。そして耳元で囁いた。
    「俺と君の、ここでの逢瀬の、話とか」
    「っっ、なっ」
    轟の顔が一気に赤く染まる。まるで炎に照らされたかのよう。
    ああ、なんで可愛らしい、俺の。
    「もうテスト勉強は終わったの?」
    「あ、あぁ、今日のところは……」
    「じゃあもう寝なきゃ。今日の訓練キツかったよね、ツーマンセルでの対戦」
    轟くんと組めてラッキーだったけどね、と鷹見が笑う。
    「あぁ、そうだな……もう、寝ないとだな……」
    いつもと違う、歯切れの悪い轟の受け答えに、鷹見が微笑む。
    「……轟くん、ホットミルク飲む?よく眠れるよ」
    「っ、飲む」
    パッと一瞬、表情が嬉しそうに和らいで、でも直ぐにいつもの顰めっ面に戻るのが可笑しくて可愛らしくて鷹見は笑いを堪える。
    キスだけで、茹で蛸のように真っ赤になって狼狽える轟炎司の姿を、鷹見は思い出していた。
    こんな時間に、キス、するような相手の部屋にのこのこついて来るなんて。意味、わかってんのかね。轟の、いつも通り寄った眉が今は少しだけ下がって見える。
    鷹見は、それが嬉しかった。



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