求愛とジュラルミンケースと僕の自慰 ジェイアズアズール、対価は用意しました。お願いです。僕の自慰を見ていただけませんか?
コロリ。落ちたペン先から黒い染みが書類に広がっていく。
突飛な男だな、とアズールは澄ました顔でジュラルミンケースを持ち、机の前に立っているジェイドの顔を見て、いやいやさすがの聞き間違いだろう。と、落としたペンを持ち上げた。
あぁ、この書類はもうダメだ。作り直さなければ。肝心の部分が塗り潰されて読めなくなってしまった。
ダメになってしまった書類を脇に除けながら、アズールはジェイドから視線を逸らす。目が合えば、先程の会話が真実になりそうで恐ろしかったからだ。が、ジェイドも諦めてはいなかった。
「アズール、対価はこちらに用意したジュラルミンケース、一ケースです。中をご覧頂くには先程の件を了承して頂く必要がありますが、アズールにとって損をするような物は決して入っておりませんですから、どうか。僕の自慰を見ていただけないでしょうか?」
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