想い。「センパイ?いるノ?」
個人撮影の仕事が終わったボクは
ここのところ事務所に缶詰になってるもじゃもじゃ星人の生息確認の為に事務所に顔を出す事にした。
〜遡る事数時間前〜
ブーーーーーっ。ブーーーーーーーっ。
スマホが鳴る。画面を見ると
センパイからだ。
「もしもシ?どうしたノ?センパイ」
「夏目くん...すみません...今日も新しい企画の打ち合わせが入ってしまって会う事が難しくなってしまいました...」
「またァ?ねェ、他の人に仕事振り分けたりとかしないノ?昔みたいにそんなに人手もそこまで足りないって訳じゃないでしョ?」
「はい...すみません。どうしても自分で全て目を通しておかないとなんだか落ち着かなくて」
「はァ....ほんとセンパイって.....
わかったヨ。食事くらいはしっかり取りなヨ。」
「はいぃ..ほんとすみません....夏目くん。俺またあの、こん」
ツーーーッ。ツーーーーッ。ツーーーーーッ。
センパイがまだ話してる途中だったけどボクは
電話を切っタ。
かれこれこんな事が数ヶ月続いている。
最後に2人で会ったのはいつだっただろうか。
2人でゆっくりしたのはいつだっただろうか。
2人で会えるの楽しみにしてたのは
自分だけなんだろうか。
センパイは自分との予定は本当は楽しみではないのだろうか。
色んな思いが夏目の頭の中をぐるぐる回っていた。
日も暮れて夏目はとある場所へ足を運んでいた。
(冒頭へ戻る)
「センパイ?いるノ?」
少し控えめな声のトーンで扉を開けて中を見渡す。
ソファに横たわる1人の人物が目に入った。
「なんダ。寝てるじゃン。センパイはいつもいつも
仕事詰め込みすぎなんだヨ。」
そう言って夏目はつむぎの顔にそっと手を伸ばす。
その時。
突然、首の後ろに強い力がかかり思わず前のめりになる。
目の前にはセンパイの顔があって
久しぶりのセンパイの顔を間近で見た途端心臓が
バクバクしてなんだか変な汗もかいてきた。
急いで状況整理をしようと思ったその時。
「ん〜っ。なつめく〜ん....zzZ」
寝ぼけたセンパイがボクの事を認識してるのかしてないのかわからないけど甘ったるい声でボクの名前を呼んで
またスヤスヤ目の前で寝息を立てながら寝ている。
首をホールドされてて身動きが取れない。
(センパイの顔。なんだか久々にちゃんと見る気がすル。こんなに目の下にクマつくってサ。なんでいつも1人でなんでも抱え込もうとするんだヨ。ほんと馬鹿もじゃメガネ。)
「ボクだっテ。もっとセンパイの力になりたいヨ。」
「夏目くん。ごめんなさい。」
「ハ?ちょっト!?え?なニ?なんデ?いつから起きてたんだヨ!」
「えへへへ〜。なんか、夏目くんの匂いがするな〜って思って手を伸ばしたら本当に夏目くんで///
俺の事心配して来てくれたんですか?ありがとうございます。」
つむぎのお腹に一発拳を入れる。
「ま、まァ。そこら辺で過労死してても困るからネ。」
「いったぁ....涙目)夏目くん言ってる事とやってる事めちゃくちゃですよ〜泣」
「でも。来てくれて嬉しいです。ありがとうございます。」
さっきよりもよりつむぎの方に抱き寄せられる。
「はぁ〜。俺。今、全身で夏目君を充電してます〜。幸せです。中々会えなくて本当にすみません。俺、ずっと夏目君にこうしたかったんです。」
いきなりの事に頭がついていかない夏目の顔は
カーーーーッと真っ赤になりつむぎの方を
睨みつける。
「ちょ、ちょっト!!だ、誰か来たらどうするノ?!///」
「大丈夫ですよ〜。みんな俺を心配して仮眠させてくれてたのでしばらく誰も来ません」
(ニコニコしながらこちらを見つめてくるもじゃ犬メガネ
を見てボクも本当はちょっと嬉しいだなんテ。
絶対センパイの目の前では言わなイ。)
ぎゅっ。とつむぎを抱きしめる。
「.....ねェ。センパイ。ボクもいるからネ。ボク、いつまでも守ってもらってばかりの夏目ちゃんじゃないからネ。もっト頼ってヨ。」
「ありがとうございます。じゃあ、もう少しだけこのままで...........zzZ」
自分の腕の中で寝息を立ててまた眠りについてしまった。
つむぎの頭を優しく撫でながら
「ココはセンパイだけの特権だヨ。」
おわり。