帰ってきたトキヤくんをお出迎えしたと同時に腕の中にグッと引っ張られる
「と、トキヤくん」
「……」
「おつかれ?大丈夫?お風呂できてるよ」
「………ええ」
「……トキヤくん?」
首筋をすんっとにおわれ、あなたはもう入ってしまったんですね。とぼんやりつぶやく
「うん、今日は早めにね」
「…………」
「えっと、とりあえずなかはいらない?」
「………ん、」
こくん、と首を縦にふったのに、全然その場から動こうとしない。
どうしたもんかな、と顔をのぞき込む
あっ……とおもった。そのギラギラとした眼差しに
「……っんう」
目がぱちっとあった瞬間にはもう唇がぱくりとたべられた。
「っふ……んっ、んちゅ」
あいたすきまからぬるりと熱い舌がはいってきて、我が物顔で口の中をぐちゃぐちゃと荒らしていく。
呼吸をすることすらままならない。激しすぎるキスに酸素がまわず、頭がぼんやりとしてきた。
トキヤくんの背中に回した手で必死にしがみつくけど、足がガクついてきてうまくたってられない
「はぁ……んっ、んうっ!」
手で背中をバシバシと叩くと
「………ちゅっ」
可愛らしい音と共にようやく唇が離れていった。唾液が唇と唇に橋を作って、やがて重みに耐えかね顎の所ら辺にポタリと雫となって落ちる。
私は荒い呼吸を抑えるのに必死だ。対してトキヤくんは息一つ乱さず、ただ熱っぽい目で私の顔をじっと見ている。
その視線にお腹のじんじんした感覚がつのる、羞恥からなのか、それとも先を期待してなのか、目頭が熱くなりじわっと瞳に水の膜ができる。
「トキヤくん」
口からとび出た声があまりにも媚びた女の声だった。当然トキヤくんにも聞こえており、機嫌良さそうに口端を少しあげる
「ベッドにつれていってあげます」
それから、お風呂、あとで一緒に入りましょうね。きちんときれいにしてさしあげますよ。
もう一度風呂に入らねばならない状態にさせられるということなのか。
「……なんか、全部の言葉が上から目線すぎる」
「あなたがここでいいなら別に構いませんよ。私はあなたをはやく乱したくてたまらない」
笑顔で大変なことをいわれ、心臓のドキドキがやけに耳につくような気がした。テレビで見る綺麗な笑顔なんかじゃなくて、欲に塗れた男の人の顔に、期待…なのか、お腹の奥がキュッとなっておもわず足を擦り合わす。
どうしますか?と囁いてくる。耳に息がかかり、ぞわぞわとした感覚が背筋をかけ、その感覚から逃れたくて、ときやくんの体にしがみついて胸に顔を埋める。
ふふ、ときを良くした声が上からきこえ、次の瞬間には横抱きに抱えあげられた。
「わ、」
「顔が近いですね」
とやけに嬉しそうにいい、目尻にちゅうしてきた。
「や」
「こら、暴れないで」
「だってトキヤくんがちゅうしてきたのびっくりしたから」
「おや、それは失礼。でしたらいまから鼻の先にもキスをしますから」
ちゅっ。頬にも。おでこにも。くちびるのはし。もう片方も。
色んなところにちゅうをされる、トキヤくんはちゅーがすきだから。なのに…
「はぁ……どこもかしこもかわいらしい」
「……ここは」
むっとくちびるをつきだす。
色んなところにちゅうしてくるくせに、唇だけはしてくれない。意地悪だ。声には出さずに心の中で文句を言う。しかも、玄関からベッドまでそんな大した距離じゃないのに、ゆっくりゆっくり歩くから、腕の中でされるがまま。しゃくである。
「そこももちろん、かわいらしいですよ。ちいさくてたべてしまいたくなる」
「たべたいの?」
「できることなら」
つきましたよ。そういって優しくベッドにおろされる。
現金なもので、はやく連れてけばいいのに、と思ってたのに、触れてた熱が離れていくのが惜しいと思った。
ぎし、とスプリングが揺れる。トキヤくんは私の上にのって、あいかわらず熱い目で私のことをみていた。
服を着ているのに、全部見透かされたような、気恥しい気持ちになり、思わず身をよじる
トキヤくんの綺麗な指が、服の上からわたしのからだをなぞる
鎖骨から胸の輪郭を辿っていく、いちばんてっぺんを触った時、ときやくんの口の端がゆがたんだのがみえた。
脱がされてもないし触られてもない、それなのにもうたちあがったはしたないちくびがばれてしまった。
くにくに、ふにふに、感触を確かめるように指を沈めて浮かせてを繰り返す。
はぁ……と自分の口から漏れた息が熱い
あまりにも焦れったくて、少しだけ背中を浮かせる。その分指が離され、期待していた刺激には至らなかった
「っ……、ときやくん……」
「ああ、すみません。つい意地悪をしてしまいました。あなたがあまりにも可愛らしくて」
「いじわるやだ」
「ふふ、いまからたくさん甘やかしてあげますね。」
ほら、口を開けて
言われた通りに口を開ける。すぐさまトキヤくんの舌が潜り込んできた。