三十路超えた轟出がバラエティでツイスターゲーム勝負やらされてるだけ「こういうゲームってさぁ……! 三十過ぎた僕らみたいなのじゃなくて、十代のかわいいヒーローの卵たちがやった方が絵的にもなんていうか……元気になるし面白いと思うんだけどっ……はい、左足黄色置きました!」
「よくわかんねぇけど、子供の遊びで大人が本気の勝負するのも面白いんじゃねえか? 普通のよりこのマットデカいみたいだし、色の配置もランダムで難易度上がってるらしいし。お、青……仰向けに反転すりゃ届くか?」
「うわ、そこ届く? さすが……なんか僕完全に身体半分以上ショートくんの影なんですけど……」
「わりぃ次のターンで抜けてくれ」
「ブリッジ状態で僕を下に敷きながら余裕なのも悔しい! 次ぼく何色ですか!? ショート君の身体でルーレット見えないんです! 右手赤? うう~~足がつりそう……」
「次、俺は左足か……あった。ほら、どいたぞ」
「大体ぼくらの体格差! リーチが違いすぎる!」
「だからハンデあるだろ」
「ぐっ……3回まで片膝ついていいくらいじゃ埋まりようがないよ……!?」
「随分と弱気だな、デク」
「マットにでかでかと横断してる君の身体で何回も阻害されてるんだよこっちは!! 次、左手青? どこ!?」
「乗っていいぞ、それでどっか届くなら」
「え、ショートくんの上に?」
「ああ」
「……そのリンボーダンスのような体勢で、なおかつ腹筋に僕の体重が乗っても耐えられる、と……」
「今更何言ってんだ」
「ぐぅぅぅ普段は頼もしいけどこの~~~! ハンデももらってる身で絶対負けられない!」
「お」
「次! どうぞ!」
「なんだ、下にあったのか。次俺は、右足あか……ちょっと邪魔するぞ」
「え、ワーーー足長っ!? 待ってそこから足の間に伸ばされたら僕が次動く時絡まって転ぶ気が……!」
「どうだかな。はい次」
「……今だけは全国ショートファンの皆さんにも僕を応援してほじい……あっはい、右手緑……ええと……あ。ショート君、乗るよっ」
「んっ」
—『おっとデク、さっきはあんなことを言っていましたが左手一本でうまくバランスをとってショートの腹筋を利用しつつ、両足を同じ色の違う位置に移動しました!』
—『やっぱり身軽ですね、動きが見ていて楽しいです』
—『ショートの体幹は本当にすごいですね。さすがヒーロー、鍛えた身体の安定感が違います。さて、軍配はどちらに上がるのか?』
「ショート君、首ちょっと右に傾けて」
「ん、こうか?」
「遠慮なく乗らせてもらうよっ。はい、緑!」
—『デク、ショートの顔の横にあったマスを選びました。あえてショートに体重をかけて体力消耗を狙う作戦でしょうか?』
「………へぇ」
「……え。あっ、ま、待っ」
—『キャ―――――――――――!?』
—『ショート!? デクが上に乗っても体勢をびくともさせないまま、顔が近くなったデクにショートが今!? 今くっついてました!?』
—『キスしましたねぇ』
—『デクくずおれた――――! ショートの不意打ちに為すすべなく崩れ落ちました! 両膝をついている! これはアリか!? 審判ジャッジ! デクアウト――――! この勝負、ショートの勝利です!』
「なななななにしてくれだぶぼきみはっっっ」
—『まさかの結末にデク言葉になってません!』
—『はは、納得がいかないでしょうねぇ』
「純情をもてあそばれたので再戦させてくださいぃ―――!」
—『どうでしょうか審判、ショート? こう言っていますが?』
「何回やっても同じだと思うけどな」
—『あからさまな挑発――! あっ審判OK出ました! 再度二人が対峙し合う! 観客席も大盛り上がりです!』
(何考えてんの!? 次やったら帰ってから絶対しないからね!!)
(……それは困る……でも別にこれくらいエンターテインメントの範疇だろ)
(し、な、い、か、ら、ね!)
(……お前があんな大胆に上乗って顔近づけたりしてこなければな)
(!!!)